2020年12月29日

双方向クラッチ

 双方向クラッチのことを書いたところ、何人かの方から連絡を戴いた。モータと動輪を切り離す機構の存在価値について、全員が疑問を投げかけている。
 切り離すと手で押せるというのは面白いが、ボールベアリングで摩擦を減らした機関車では、わずかな傾斜でも動き出して卓上からの落下の心配があるという指摘を受けた。全くその通りで、筆者もあわや、という経験がある。

 祖父江氏から最初の1輌を受け取った時に、父に見せた。陸軍の…という話はその時のものだが、筆者が、
「中はどうなっていると思うか。」
と問うと、さらさらとスケッチを描いて、
「こうなっているんだろうな。外と中の速度差があれば、摩擦で爪が動いてひっかかるだけのことだろう?」
 
 驚いたことに、その図は祖父江氏の試作品と全く同一であった。
「手で廻すなら良いが、モータで廻すと寿命は短いだろうね。」とも言った。

 実際に80坪の仮設レイアウトで長大編成を牽かせてみると、シャフトに彫った、爪がひっかかる溝は徐々に拡大し、爪のピンの入る穴もガタつくようになってきた。その後、その種の機関車はほとんど稼動させていない。ガラス棚に飾るときも、前後に車止めを挟み、注意書きも置いてある。

 ”押して動く”件は、考え得るすべてのパターンを祖父江氏と共同して試作したが、蒸気機関車に関しては3条ウォームが最適解であることが分かった。

 ちなみに、その英語訳は"Free to Roll"としたい。”Free Rolling"では勝手に転がることを意味する。前者は「押せば動く」ということで、このメカニズムの意味をよく表している。これは native の英語を話す人に聞いたことで、間違いはないだろう。


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