2020年11月29日

続 "しょうなんでんしゃ"の記事

 実物車輌がレイルの上に載っている時、車輪、レイルともにわずかに凹む。その量は目には見えない程度だが、確実に凹む。これは弾性変形である。
 D型蒸機機関車の動輪半径は小さく、C型蒸気機関車では大きい。同じ粘着重量でもD型の方が粘着力がある。それは動輪が小さいことによる。半径が小さいもので押すとよく凹むのである。それによって摩擦力は増大する。米国の入替え機には、動輪が極端に小さなものがあったが、それはこの摩擦力が大きいことを狙ったものだったのかもしれない。

 こういう話が模型でも通用するだろうか。ここまで書けばお分かりのように、模型では、軸重による線路の弾性変形などは完全に無視しうる範囲にある。しかし、こういう話をとくとくと語る模型人が居る。それは実物の話なのだが、模型でも起きていると言うのだ。それを信ずる人も、信じがたい話だが、多少は居る。この種のファンタジィから出られない人なのだ。   

「実物をそのまま縮小した模型」というのもよく聞くフレイズだ。本人は正しいと思っているが、車輪の厚みを考えていないから、台車の内側に当たる。昔、吉岡精一氏は、「実物を縮小したら模型になると思っている人は、ソリッドモデルでも作っていなさい。」と言った。その通りなのだが、この現代においてもその呪縛から逃れられない人はかなり居る。
 吉岡氏はさらに続けた。「実物の図面を持って来て、それを元に作るというのは、実は難しいことではないんだよ。頭を使う必要がないからね。走る模型を作るには頭が要る、ということが分からない人は多いんだよ。」

 Low-Dの設計にはかなりの時間を掛けている。初めは2次元の図面だけで判断していたが、後に3Dの画面で覗けるようになった。設計は完全に正しく、最初のロット1万軸は、国内外でたちまち捌けた 。曲線での抵抗は格段に減り、神戸の運転会で好評を得て、国内ではデファクト・スタンダードになった。その後増産され、3万5000軸強が出て行った。アメリカの富豪は一人で4000軸も買った。利益を考えていないから、価格は十分に安いが、受注は製造所の景気に左右されるところが問題だ。

 模型の線路は十分に堅く、凹まない。車輪も凹まないから、うまく設計すれば1点接触に出来る。RP25ではそれができない。  

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