2020年09月04日

模型を作ると…

 模型と実物は違う。筆者は高校生の時に兄からその話を聞いた。兄は航空分野に居た。飛行機の設計時に用いる風洞実験の話を聞くと、Reynolds Numberというものを導入するのだ、と説明してくれた。模型にぶつかる空気の粒子も、実物にぶつかる空気の粒子と同じだからだ。気体分子は縮小できないことを忘れてはならない。また、ヤング率が一定だから縮小模型は相対的に堅くなるということも、その時知った。

「お前の作っている模型はオモチャだ。本物はもっと柔らかい。レイルも、枕木も、砂利も柔らかい。車体なんて、手で持ったら潰れるようでなければ、本物のような動きはしない。」とも言った。

 模型は実物の1次近似寸法を縮尺通りに作れば、動きも含めて、すべてを実物通りに縮小近似できる)だと主張するようなおめでたい人も居るから、模型界は進歩しない。模型は手で持つからある程度の堅さが必要であるが、下廻りは最大限の柔軟性を持たせねばならない。ところが、「イコライザさえあれば、バネは不要である」という、とんでもない迷信が、大手を振ってのさばっている。これについてはTMSなどで「そうではない」という記事を見たことがない。

 小さなHO以下の軽い模型は壊れにくいだろうが、少し重い模型は、バネ無しでは、すぐにヘタってくるのが分かる。またポイントのフログがてきめんに傷む。HOでさえも、バネが利いている車輛の走行音の軽さには、驚くはずだ。何らかの緩衝機能がないと、壊れていくのである。
 ゴムでも良いのだ。何かの緩衝材が入っていると音は極端に小さくなり、車輛は長持ちする。これは井上豊氏が研究していた。その続きをやれと言われていたが、重ね板バネの効果を確かめ、ゴム板による台車センタピン支持で消音効果があることを立証した程度である。

 模型のカーヴでの挙動について、「遠心力」という言葉を用いている記事はすべて誤りと言ってよい。高校1年の物理の教科書を開いて計算すれば、愕然とする人は多いはずだ。考慮する必要がないことは明白である。即ち、カントは気分の問題である。傾いていると気持ちが良い、という程度のことである。また、自然振り子電車は、実現できるわけがないことは自明だ。

 いつも的確な指摘を下さる工学エキスパートのT氏から、興味深い記事を送って戴いたので紹介したい。

dda40x at 09:04コメント(3)工学 | 物理 この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by YUNO   2020年09月04日 22:25
色々な面で、実物の構造や模型との違いがよくわかってない人は少なくないですね。
映画のゴジラは電車を連結されたまま持ち上げますが、本来なら車体は握っただけで潰れ、台車は線路上に残るはずだと、小さい頃から不満に思いながら見ていました。
2. Posted by mm   2020年09月05日 10:16
2010年01月31日の記事を見て感銘を受けました。
素晴らしい方法だと思うのですが、誰もこれを応用したという話を聞きません。
どなたか実例を見せて欲しいものです。イコライザーがあれば、バネなんて不要だと思っている人が多いということでしょうか。
3. Posted by dda40x   2020年09月05日 22:20
 確かに電線はちぎれて台車は残るでしょうね。私はゴジラの骨格が何でできているかの方に興味がありました。生物の骨ではもたないので不思議でした。

 イコライザの中に一箇所でもバネが入ると全体がsprungになるということは、意外と気付かないことだそうです。ゆうえん氏がこれをご覧になって作られたような気がしています。 

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