2020年09月10日

Solvaset の有効成分

Solvaset 最近、栗生氏の掲示板でディカールの柔軟剤ソルヴァセットの成分について、アメリカの掲示板の投稿を再録していた。



 ソルヴァセットの成分が何なのかは、永らく謎であった。筆者のハナマトグラフィでは、グリコールエーテルではなかろうか程度の認識であった。水に溶ける有機物はそれほど多くはないので、そのあたりだろうと思った。さりとてそれを分析するほどのこともなく、買った方が安いのでそれで十分満足していた。ソルヴァセットの溶解力はかなり強く、多く付けるとディカールの膜が溶けるから注意せねばならない。家庭用強力洗剤にもアルコールエーテルが含まれている。

Solvaset しばらく前にアメリカで買って来た瓶のラベルに、
methoxy-2-propanol, methoxy-1-propanol
と表示があったので、当たらずとも遠からずであった。(正確には、前者は1-methoxy-2-propanolと書くべきであるが、間違うことも無いだろう。)

 昨年思い切って分析にかけてみたところ、methoxy-2-propanolが99%以上であった。この形の分子ができやすいし、また安定である。1の方は痕跡程度であった。成分表示に書く必要もないほどだ。
 2の方は光学異性体の混合物(*は不斉炭素原子) になっているはずだが、そんなことは、この際、どうでも良い。 500 gが5000円ほどで買えるが、あまりにも多すぎる。市販品の濃度なら100人で分けても余る。その手間を考えれば、市販の瓶入りを買うべきだ。


butyl cellosolve ブチルセロソルヴという話も出ている。これも水といかなる比率でも混じり合う。これにもディカール柔軟剤の機能はあるだろうが、乾燥がかなり遅い。このブチル基は直鎖だが、これが枝分かれしているとさらに溶解力が強くなるはずだ。これらはラッカ・シンナに少量含まれていることがある。
 これを多めに含ませたものが、リターダ・シンナである。ブチルセロソルヴを混ぜると蒸発速度が小さくなるので、気化熱で塗膜が白くなるのを防ぐことができる。湿気が多い季節には使うべきラッカ・シンナである。
 セロソルヴの意味はニトロセルロース系のラッカーを溶かすことができるものという意味である。ソルヴァセットを付け過ぎると塗装が溶けるのは当然である。心配な人は水で薄めると安心だ。


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