2020年08月17日

半波整流による低速制御

 Marnoldのカタログは面白い。正直なところ、これがウェブ上で見つかるとは思わなかった。70年代のアメリカでも、既に過去のものであって、新品はWalthersのカタログには載っていたが、現物を見ると少々がっかりした。先にも書いたが、筐体の鉄板が薄くて剛性が小さく、出力のラグが小さいので結線しにくい。また、スロットルはガリガリして高級感が無かった。しかし今回、セレン整流器の性能向上について、知見が広がり、有難かった。

 今回このカタログを熟読して一番興味があったのは、半波整流による低速制御(いわゆるパルス電源)である。p.21(画面左下のペイジを表す数字は 16)の Super1 回路図には一箇所ミスがあるが、気が付かれるだろうか。右上のDPDT(いわゆる6Pスウィッチ)に行く線がない。2つのセレンからの出力と結ぶべきだ。

 トランスの上の巻線にはスライドする端子が2つあるから、それを別々に動かすことができれば、半波だけの24 V(実効値で12 V)も出せるし、半波は普通に出し、残りの半波は低電圧にすることもできる。要するにセンタータップを偏らせることができるのだ。実際には半波だけの24 Vは出さなかったようである。特許( US2859398)を見れば半波を微速用に出していて、残りの半波は電圧を0から可変のようだ。非常に簡単な方法である。これについてはTMSに詳しい解説がなかったように思う。気が付かなかったのか、理屈が分からなかったのかは分からない。

 伊藤剛氏が試作した回転式接点断続法では、誘導負荷を遮断するので火花が出て、すぐに消耗してしまったそうだ。その点、半波方式は自然に遮断されるので、寿命について考慮する必要は全くない。それとレオスタットとをさらに組合せれば、より細かい運転法が可能だ。今まで紹介されていた方法はパルス式だけの給電であったから、細かい制御が難しかった。このパルス方式は、実効値は小さいが瞬間の電圧が高いので、多少接触が悪い状況でも、動き出させることができる。

 宣伝文句には列車の慣性に打ち克ってゆっくりスタートできるとあるが、この文言だけは賛成できない。慣性ではなく、静止摩擦であろう。
 一般には、現在の模型でも摩擦が大きいものがいくらでもあるから、それを走らせるには工夫の余地がある。小さなスライダックを2つ繋げば、ほぼ同等のものができるだろう。片方は通常のトランスでも良いかも知れないが、その時はレオスタットを組み合わせた方が良いかも知れない。レオスタットはいくつか転がっているので、使いたい人には提供しても良いが、モータの特性に合わせて調節するのはかなり面倒であろうと思う。
 もはや過去の遺物であると云うべきで、これを再現する価値があるかどうかは疑わしい。やるなら、完全なソリッドステートである。決して難しくはない。既にそういうものは市販されていたように思う。しかし、既にDCCの時代である。低速運転は何も考えなくてもできるようになってしまった。 

 また低速での起動をしたいなら、牽かせるものの抵抗を極限まで小さくし、ギヤの伝達効率を高くすることが早道である。当博物館では、120輌を牽いて登り坂で微速前進ができるが、完全直流運転で、何の仕掛けもない。  


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