2020年07月24日

メルクリンのuniversal joint

 知人に古いメルクリンの機関車の整備を頼まれた。B型台車を二つ付けたディーゼル機関車である。今までメルクリンは眺めていただけで、手に取るのは初めてであったが、興味があって引き受けた。綿ボコリを噛んでいるのを取り、上下バラして注油するだけの事だと思っていたが、意外な展開であった。

 開けて見て驚いたのは、モータが、車体に固定されている。台車は派手に首を振るので、そこには何らかのしなやかに曲がる動力伝達装置が必要である。

Maerklin (4) モータからスパーギヤで減速されるのだが、途中のギヤはかなり大きい。そのギヤには大きな穴が二つ開いている。グリスが詰まっているのが、固まっているようだ。
 台車を抜くネジを外すとパラリと部品が落ちた。それは、H字型の板であった。スティール製で、4つの角を丸くしてある。 

Maerklin (1)Maerklin (2)   バラバラになった状態では機能がわからなかったが、再組立てしてみるとなるほどという構造であることが分かった。そのH型板がユニヴァーサルジョイントの中間軸を構成していて、4つの角は2つのスパイダの代わりをしている。部品の数を大幅に減らして、ほぼ同等の機能を得たわけだ。これを見ると角度はほぼ等しく、十分に等速であると推測する。
 これらの写真をご覧になると、その機能がお分かり戴けるだろう。

Maerklin (3) そのH型の部品は硬いスティール製で、2つの孔の中で動く。この部分を掃除して、新しいグリスを詰めた。モーター軸には保油装置が有り、そのスポンジに注油すると、スパーギヤの方にも油が広がっていくようになっている。このあたりの設計思想は素晴らしい。ただし油は撒き散らされる。それが集電の突起あたりにも付いて、滑りが良くなっているのかもしれない。ダイキャスト鋳物は出来がよく、緻密である。直捲3極モータは回転が意外と滑らかであってトルクは十分だ。軽くはないが、押して動く。自動逆転器の作動は確実である。歯の数は、ちゃんと互いに素になっている。また、あちこちにコンデンサが入れてあって、雑音防止に寄与している。


 ライオネルも、メルクリンも、よく出来たおもちゃである。学ぶべきところはたくさんあるが、いわゆるスケール・モデルにはほとんど採り入れられていないように見える。

 電源と線路一巻きを借りてあったので、完工検査をしてお返しした。以前よりずっとよく走るそうで、安心した。


コメント一覧

1. Posted by 一式陸攻   2020年07月24日 07:36
このH型のジョイントは、現在もメルクリン製品に使われているのを何年か前に確認しました。
やはり等速だったのですね。
ただ一方で、最近の製品の中にはユニヴァーサルジョイントの位相が正しい製品もあれば、誤っているものもあるのが不思議です。

我が国の模型人は、メルクリンをおもちゃだからと小馬鹿にしてきたフシがありますが、製品として優れているのがどのようなものなのかは明白でしょう。
2. Posted by メルクリン車両   2020年07月24日 09:26
いつも拝見させてもらっています。形態的にはおもちゃと感じて見ていますが、ちゃんと裏打ちされた技術を駆使してあるので、創業時から今日まで多くの人気があるのでしょう。
3. Posted by YUNO   2020年07月24日 13:37
我が家に最初にやってきた汽車は三線式のメルクリンHOでした。
説明書には注油やカーボンブラシの交換方法が書いてあり、カタログには交換用のブラシが掲載されていました。ユーザーが手入れして使うのが前提の「機械」だったわけです。
昔の機関車は永久磁石を使わない交流モーターとスパーギヤ駆動のため押せば動くので、小さい頃は手押しして遊んでいた記憶があります。
軸受けはとても転がりが良く、客車は勝手に部屋の反対側まで転がっていきました。
乱暴に扱ったのでボロボロですが、今でも引き出しに眠っています。また電源を入れたらそのまま走るのではないかと思います。

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