2020年05月03日

続 ATSF Heavy Pacific

 この機関車は場違いなところにあったのだ。東部の機関車は西部で、西部の機関車は東部で買うと良い、と言われていた。人気がない機種は、安く買えるということだ。サンタフェの機関車がニュー・イングランドにあっても、欲しい人などいない訳である。当時の相場としては900ドル位であった。その価格で出ていたが、誰も見向きもしない。売り主と話をすると、
「800ドルにするから買ってくれないか。」と言う。
「いや、こちらはアメリカ一周の旅行中だから、買いたくない。」と答えると、「最終日まで待って誰も買う人が居なかったら、600でも良い。」と言う。
「いやそれでも買いたくないな。」
「じゃ500でいいから。」と言う。その価格でなら魅力があった。

 そして最終日の夕方行って見ると、筆者の名前を書いた箱があり、小切手を渡してそれを受け取って来た。良い買い物であった。南部の友人を訪ねてから、自宅に帰って箱を開けた。驚いたことに、ACモータが入っていて、逆転スウィッチはキャブの中にあった。Max Gray時代の極めて初期のものだったのだ。それが安い理由であった。ニ線式であったのは助かった。帰国する時には錘とモーターは捨てた。それでも十分に重かった。
 祖父江氏に見せると、「参ったねー。こいつぁー古いよ。30輌位作ったっけな。モータが入らねえから、バックプレートを切り開いて、無理に押し込んだんだよ。テンダは重いよ。厚い板で作ったんだ。高くついたね。あとでUS Hobbies向けにも作ったけど、あれは薄い板で作ったから軽いよ。」と言った。
「煙突の裾はハンダの丸味だよ。プレス型を作るほどの数が無かったからね。あとで作った時はプレスになったな。」

pneumatic smoke deflector (2) バネを入れ、動力を改造して押して動くようにした。外装もかなり手を入れた。塗ってしまえば良かったのだが、ガラス棚に長期間鎮座していた。今回テンダを改造する予定だが、先に塗ってしまうつもりだ。本物の煙突は2フィート(61 cm)ほど折れて畳めるようになっている。それをやりたいのに、資料が見つからなかったのが、塗装が遅れた理由だ。DCCで畳めるようにしようと思っていたのだ。この図面がかなり近いと思う。

 実は、この機関車はもう一輌ある。テンダを手に入れたので、スクラッチからある程度作ってあった。並べると壮観だろうと思った。それは贅沢にもフル・イコライジングである。作りかけのまま、30年以上放置されている。スポーク動輪を他に使ってしまったのだ。今度作るときはボールドウィン・ディスク輪心にしたい。最近は3Dプリントでもできるから、試しにやってみたくなった。しかしタイヤを挽くのは大変である。快削鋼のΦ45を買ってきて削り出すのだ。ほとんど切粉になってしまう。昔は鋳鉄からも作ったことがある。鋳鉄製タイヤでは、牽引力は確かに増大するが、見た目が良くない。ステンレスのタイヤは許せない。色が悪いし、滑りやすい。快削鋼の色は素晴らしい。錆びると言う人がいるが、よく走らせていれば心配ない。
 精度の点ではタイヤだけは外注したいのだが、20枚程度では引き受け手がない。タイヤを研削する時に使うヤトイを作ってあったのだが、見当たらない。頑張って作ってみよう。 

コメント一覧

1. Posted by ひでやん   2020年05月04日 01:17
パシフィック型はかっこいいですよね。私はライニング塗装が美しい英国型でパシフィックが好きになりました。

動輪の製作に関して質問させていただきます。米国のお知り合いが総型バイトでタイヤを切削するという記事がありましたが、日本でも一般モデラーで総型バイトをワイヤカットしてもらい、それを使用される方がおられますね。

以前、後続車両の牽引抵抗を低減するためにステンレスのLow-D wheelに取換え、機関車は駆動力確保のために先輪従輪以外はRP25のままでもよいだろうとおっしゃってましたが、高精度の駆動用タイヤを設計して、NC切削を外注に出されるのですか。
2. Posted by dda40x   2020年05月04日 09:41
私はタイヤには総型バイトを使いたくありません。ビビりますし、挽き目が出ます。結局のところ再研削せねばなりません。
大事なところはフランジの斜面、踏面、フランジの内側斜面です。2つの専用バイトを用意します。フランジ先端は当たることが無いのでごく適当です。
駆動輪のフィレット部分は、走らせれば自然に研がれてしまいますから、あまり気にしなくて良いです。これは鉄タイヤの話です。洋白などではまた別の要件があると思います。

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