2020年03月14日

炭素棒ピンセット型ハンダ付け機

carbon pliers 筆者は炭素角棒の付いたピンセット型のものを使うことが多い。
 これは炭素棒が2つ、ワークとの接触部も2点あるので、単純に考えると電気抵抗は2倍だ。同じ電圧ならば出力も半分になる。つまり、これを使う時には入力電圧を上げねば、同等の発熱は得られないことになる。
高電圧用スライダックを用いて電圧を130〜170 Vほどにすると、出力が120 Wくらいになって、瞬時にハンダ付けができる。加熱点がハンダ付する箇所の両面にあるので、明らかに温度上昇が早い

 今までは必要があるとそのスライダックを持って来て接続をしていたが、今回の装置が導入されたので、単極の太い電極の場合は新型を用い、ピンセット型は、旧来のタイプにスライダックを接続済みのものをそのまま使うようにする。

 いずれにせよ、炭素棒ハンダ付けは数秒で終わることであり、変圧器が焼けることは考えられない。
 ところが電気工学を勉強したと称する方は、必ず、こんなものを紹介するのはおかしい、火災の危険があると言ってくる。しかし、忘れてはいけないのは連続定格ではないということだ。どんな電気装置であっても、短時間なら焼けない
 筆者の父は、昔、面白い表現を使った。
焼けるまでは焼けていない。」
 どんなものにも、熱容量がある。発生熱量がそれを昇温させる。熱くなると外界に熱が逃げる。逃げる熱量が少ないと温度が上がって来る。しかし許されないところまで温度が上がる前に、電源が切れていれば何の問題も無いのだ。

 この装置のトランスではその制限時間は30秒くらいだろう。それ以上時間が掛かるものには使うべきではない。普通は5秒程度である。そして、次の通電までには10秒ほどおけば全く問題ない。それでも文句を付けてくる人が居るから困ったものだ。客観性のない人たちだ。

 こういうことを考えて見よう。ノーフューズ・ブレーカは各家庭にある。ショートするとバチンと音を立てて落ちる(トリップと言う)。ショートしてから切れるまでの間、0.1秒弱は、電流が数百アンペア以上流れている。内部のバイメタルが焼けて温度が上がって曲がり、引き金を引いて切るのである。文字通り、短時間はショートしているけれど、火事にはならない。そういう仕組みを理解できれば、炭素棒ハンダ付け機が危険だと言うのは矛盾していることが理解できるはずだ。

 炭素棒ハンダ付け機を何かの装置に埋め込んで使う人はいないだろう。目の前に置いてあるのだから、焼けた臭いがすれば切るだろうし、温度ヒューズも付いている。手でスウィッチを入れるのではない。足で踏むのだから、踏みっ放しにはならない。また、ワークを手で持った炭素棒で押さえるのであるから、手を離せば電流は切れる。すべて意図しないと働かない方向だから、安全であると言えるだろう。

soldering 炭素棒ハンダ付けを導入すると、完全なハンダ付けが誰でも可能になる。先回紹介した信号橋の歩み板は、骨組の上に置いた角材に、少量のハンダで完全密着している。普通の方法ではコテが入らないから難しい。これを見た友人はかなり驚いていた。歩み板(0.5 mm厚)の裏面にハンダを少し付けて所定の位置に押さえ込み、上の面から炭素棒で触るだけである。一回で半径 5 mm程度が融けるので、それを順にやればできあがりだ。反ることがないから誰でもできる。何の骨(コツ)もない。

signal bridges 歩み板の上面は炭素棒の痕が付いているが、融けたりしたわけではない。実はこのエッチング板の表面には、レジストが残っている。それが熱分解して痕を残しているわけだ。磨き砂でこすると無くなる。アメリカ製の物にはよくある。面倒なのでそのまま塗るつもりだ。見えなくなる。 

コメント一覧

1. Posted by skt   2020年03月14日 09:49
フェイルセーフ、フールプルーフとして、サーキットブレーカーやタイマースイッチなどが組み込まれていれば、電気工学を勉強された方にも納得して貰えるのかも知れませんね。この種のツールに必須かどうかはともかくとして
2. Posted by HIYAMA kazan   2020年03月14日 11:39
なるほど、これで判りました。
私のピンセット型は先端が2.0ミリほどの丸棒なのですが、抵抗が倍になるから白熱しなかったのですね。
先の質問は2ミリが一本のSingle Electrode Handpieceというのを買ったらどうだろう?と考えたからでしたが、止めときます。
3. Posted by ゆうえん・こうじ   2020年03月14日 12:58
この話で欠けているのは、操作知識のない一般消費者が扱う道具なのか、操作知識を持ったプロ?が扱う道具なのかという視点だと思います。
前者であればこの道具は火災をおこす危険のあるトンデモない道具なのですが、後者であれば何ら問題ないということになると思います。dda40xさんが、そういう操作知識のない人にも販売したのを非難するのなら筋がとおりますが、模型クラブのある程度の知識をお持ちの方に頒布されたので問題ないと思います。
ただ世間には本来プロが扱うはずの道具をそういった配慮なく、一般消費者に販売して事故をおこしている事例も多いとは思います。
4. Posted by dda40x   2020年03月14日 14:12
 8年前の頒布時には、「連続使用をしないことと、開発者の意図に沿わない使い方をしません」 という念書を取りましたので、法律上は一応形は整っています。
 材料は最高のものを使用したので長持ちします。そうなると次の世代がそれをどのように使うかということはやや問題になります。
5. Posted by 01175   2020年03月14日 18:26
記憶の定かな方にフォローして戴きたいのですが、40年位前のTMSに炭素棒ハンダ付け機の広告が出ていたと思います。昔からTMSを購読する習慣がなかったので手元で確認するすべがないのですが、広告主は、多分、横浜の篠原模型店です。
6. Posted by 妙高電鉄   2020年03月15日 18:15
3 01175様
1980年12月号No.395の114ページに広告が掲載されておりました。
商品名「カーボン抵抗ハンダ付装置」<受注限定品>
大きなお世話ですが、ご参考までに。
7. Posted by 01175   2020年03月16日 02:42
妙高電鉄様、御示教ありがとうございます。

受注限定品だったのですね。広告中に製品の内容にかかわる記載があれば御討議の安全装置にかかわる情報でも得られるかと思い、朧な記憶を頼りにその存在をお知らせした次第です。
8. Posted by Tavata   2020年03月16日 08:17
「焼けるまでは焼けてない」とは面白いですね。お父様のご専門らしいお考えです。あの分野は必ず短時間過負荷の概念があります。生死が掛かっている場合、機械が壊れて死ぬ前に死線から辛くも脱出できれば良いという考え方です。
この装置の場合は、そこまで極端な過負荷でもなく、通常使用での損傷リスクは少ないが、フェールセーフに慣れきった世の中に出すにはリスクが多少あるという程度に思えます。電圧電流とは何かという知識と稼働時の状態を想像できるくらいの方に頒布すれば、問題ないと思います。ただし、コイルに大電流をオンオフという瞬間的な高電圧(サージ電圧)を誘発する使い方なので、たかなし氏のレポートにあるように、サージ対策は必要だと考えます。
9. Posted by dda40x   2020年03月22日 22:05
 妙高電鉄様にお知らせ戴いた広告を確認しました。数回の掲載ですね。価格は50000円とあって、次号には55000円 に上がっていました。かなりの価格です。今の貨幣価値で10万円程度でしょうか。どれくらい売れたのでしょう。電流計がついていて、30 Aという数字が書いてあります。かなり大きいですね。電圧は可変のようです。買われた方の感想が知りたいですね。

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