2020年02月09日

sealed beam

 シールド・ビームという言葉とC62とが結びつく人は、60歳以上かもしれない。北海道に渡ったC62は、シールド・ビームを補助前照灯として付けていた。常磐線のカマも一部付けていた。

 シールド・ビームは、既に、あまり使われない言葉になってしまった。自動車のヘッドライトには必ず使われていた時代があるし、電車その他の鉄道車輛にも全面的に使用されていた時期がある。現在はHID か LEDになってしまったから、自動車のヘッドライトは、自由な形にできる時代になった。

 歴史を繙いてみると、アメリカでは1940年から、シールドビーム化が始まった。交通機関の車輛にはこれを使わなければならなくなったのだ。既に設計が始まっていたものには猶予されたらしい。即ち戦後製造されたものには、ほぼ全部に使われている。1980年代までその法律は生きていて、シールド・ビームの種類が限られているから、自動車のヘッドライト周りはその形が限られていた。即ちデザインの自由度が、かなり制限されていたのだ。 
 筆者は70年代にアメリカに居て、それに気づいた。どうして車の前頭部がもう少し形の良いものにできないものか、と知人の自動車業界人に聞くと、シールド・ビームの形が決まっているからだということが分かったのだ。

 シールドビームはレンズ、反射鏡付き電球である。ガラスの枚数が一つ少ないし、その間に埃が溜まることが無いので光量が増す。しかし、ハロゲン電球を使えば、より効率が高くなるので、シールド・ビームの利点は意味がなくなる。
 ハロゲン電球は、フィラメントと電球のガラスとの距離がある程度小さくないと意味がない。ガラス面が350 ℃くらいになると、蒸発したタングステンが再度戻って来るようになっているのだ。このあたりのことは、化学熱力学の良い教材となる。
 即ち、小さなハロゲン電球とレンズ、集光鏡、プリズムとの組み合わせになった。そうすると対向車に対する減光をせずとも、確実な遮光により、目眩みを低減できるようになった。これは自動車の話であるが、鉄道でもある程度は共通する。

 鉄道車輛においては、今までの径のヘッドライト筐体を使おうと思うと、2つの電球が入る。NYCのナイアガラは水平に2個入れている。縦の配置の機関車もある。縦横はどうでも良いので、今回製作の機関車では縦にした。小さなLEDを二つ並べた。電球色なのだが、色が白っぽい。本当はシールド・ビームの色温度はやや低いので黄色っぽくなければならない。何かで色を付けてみるべきかもしれない。

 以前 Big Boy の前照灯切れの話を書いたが、ディーゼル電気機関車のシールドビームはとても切れにくくなったそうだ。しかも2つあるから、片方切れてもすぐには取り替えなくて良いのだそうだ。

コメント一覧

1. Posted by YUNO   2020年02月09日 16:48
日本のシールドビーム化改造車は横並びばかりでしたね。新規にデザインされた車両も横並びが大半で、縦に並べた例は新幹線ぐらいしか思い出せません。
さて、アメ車とシールドビームから連想するのは、奇しくも引退の時期が重なった国鉄DD51と近鉄スナックカーです。
どちらも当時のアメ車によく見られた、シールドビームをステンレスの枠で囲むデザインを採用しているからです。
日本の鉄道ではこのデザインを採用したのはどちらかと言えば少数派ですが、両車をデザインしたのは同じ人物だったのかもしれませんね。
2. Posted by dda40x   2020年02月11日 11:34
 シールドビームの時代は、それがベストと信じられていたので、デザインが多少阻害されるのはやむを得ないと思われていました。縦か横かしか選択肢が無かったのですが、実際は横が多かったのはなぜでしょうね。単独で斜め配置は見たことありません。左右対称の斜めと言うのもアリかもしれませんが。
3. Posted by たづ   2020年02月14日 18:41
日本の鉄道車両(ことに蒸気機関車や旧型国電など古めの車両)のシールドビームは大まかに3通りあるようです。戦前由来の150W白熱灯(LP42)の灯具を直に改造してシールドビーム化したもの、戦後の大型灯具(250W:LP403など)を2灯式に改造した所謂”豚鼻”、そして自転車のランプ然のLP405です。LP42改造品は殆どが私鉄のようですが蒸気機関車のような車両では意外と違和感が少なく思います。
なぜそういう改造にならなかったのかは謎ですが。

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