2019年12月07日

HOゲージャの訪問

 HOの友人が夫人を伴って来訪した。
 かねてから、夫人はこの博物館のレイアウトのことを聞かされていたので、「どうしても見たい」といらしたようだ。120輌が音もなく発車し、ドラフト音を響かせながら坂を登って降りて来るのをご覧になって、大変驚かれたようだ。
 御亭主に、「どうしてうちのは短いのに、ここは長くても牽けるの。」と質問された。彼の自宅のレイアウトには、電車を中心に車輛が走っている。

「すべてが違うんだよ。車輪旋削の精度、材質、軸受の精度、歯車の設計、モータの種類、すべてが全く異なるのだ。」と彼が答えると、「HOでもできないの」と聞く。
「残念ながらそういう車輪を作る人が居ない。誰か作らないかなと待っているんだけど誰も作らないから無理だ。」と彼が言うと、残念そうな顔をされた。

「『誰かが作らないかな』と思っていても、駄目さ。自分で作らなきゃ。そういう工場はいくつか伝手があるから、紹介しようか。」と切り出したけど、話はそれ以上進まなかった。

 どうして誰もやらないのだろう。研究結果は発表されているので、HO用のヴァージョンを作るだけのことだ。半分の大きさにすると、いくつか予想外のことが出てくるかもしれないが、少なくとも、めっきされた車輪よりはずっと静かになる。

 動力車用の40インチの車輪のネジの嵌め外しを、して貰った。さすがに技術者だけあって、その違いに気が付いた。
「このネジは高精度だ。こんなのは他に例がない。」
 全くガタがないネジで、締まるとき、コツンと当たるともう動かない。軽く締めただけで、そう簡単には緩まない。細目のM4ネジである。車輪の製造所が胸を張って「世界最高峰のネジです。」と自慢したネジである。左右の車輪径が1/100mmの桁まで合っているし、バックゲージ(back to back)のばらつきがない。
 それを言うと、彼は、
「ここまで来ると模型じゃないな。精密機械だね。この静かさには参るね。HOはオモチャかな。オモチャから脱却したいもんだ。」と言った。

 彼は、筆者が上廻りの出来具合にはあまり興味がないことを、良く知っている。模型屋には殆ど行かないと聞いて、夫人はどこに行くのかと聞いた。
「クズ屋です。廃金属回収の店に行くと、楽しいものがたくさん見つかりますから、洗いざらい買ってきます。工作した残りのクズは持って行って売ります。50 kg買って40 kg以上売りますよ。」
と言うと、ずいぶん驚いた。ブラス専用の屑箱をお見せすると、納得されたようだ。


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