2019年12月01日

快削ブラス

 最近、模型界では快削ブラスが市民権を得たような気がする。40年前は、おそらく殆ど知られていなかった。大阪の福原金属だけが売っていたという情報はあるが、大半の模型屋で売っているものは普通のブラス板であった。本当に切りにくくて腹が立った。一方、建材の引戸レイルは、糸鋸でとても切りやすかったことが印象に残っている。大きなモータに付いている銘版の廃品を貰ったが、これは粘い材料で、油を付けても切りにくかった。

 アメリカに行くと、ブラス板は少々色が違って緑っぽい感じがした。糸鋸ですいすいと切れるし、シアでは、すとんと切れる。
 性質が違い過ぎて、同じ金属とは思い難かった。日本製のブラス模型の色は赤く、アメリカ製は黄緑色であった。

 日本の材料屋でその違いについて聞くと、「快削と指定して取り寄せてあげるよ」と言う。それならばと、t0.3から順に定尺を全サイズ買った。色は普通材と同じであった。とても使い易く、友人に譲ったりして、その後は快削しか買わない。今は 0.3 mmが市販されていないようである。昔は、この板は時計の歯車用に大量に消費されていた。

 今野氏と知り合ってそのことを伝えると、KKC内部での頒布材料は、すべて快削材になったと言ってよいだろう。いろいろな場面で感謝されることがある。

 しばらく前、クラブの会合に手持ちの半端材料を大量に持って行って、安価で処分した。半分ほどは快削でなかったので、印を付けておいた。そうしたら、買おうとした人が、「えっ、快削じゃないの?僕は快削しか使わないんだ。もう普通のブラスなんて買う人は居ないよ。」と仏頂面で、のたもうた。その言い方にはとても驚いたが、内心とても嬉しかった。皆さんが使ってくれているんだと知って、多少なりとも貢献していることを実感した。これには今野氏の努力が大きい。この記事など、読んでくれた人など殆ど居ないのだから。 

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