2019年09月21日

金属疲労

broken by metal fatigue 切断機のハンドルが折れた。ケガはなかったが、かなりびっくりした。破断面を見ると、metal fatigue 金属疲労特有の模様が見える。力を入れた瞬間に破断するので、場合によっては大ケガをする。注意されたい。材質は、ヤスリで削った感触ではS45Cのようである。

metal fatiguemetal fatigue 2 この写真の上の矢印から始まっている。虫眼鏡で見ると、色が暗い部分に同心円の貝殻状の模様が見えるのが証拠だ。僅かなヒビが入り、使用と共に、それが広がったのだ。下の方の輝いている部分は、折れた瞬間にコジて擦れたところだ。
 筆者の祖父は金属屋だったので、疲労の話は聞いていた。しかしこんなに太いものだし、手で押す程度のものだから無縁のものと思っていた、

 この機械は古い。1978年ころの購入だ。これと同時代のものは今野氏のものむすこたかなし氏のものくらいしか見たことが無い。足の間隔が 330 mm のものだ。これはハンドルのネジがインチネジである。1/2インチの 12TPI、要するに径が12.7 mm、ネジ山が1インチ当たり12本である。この2本は比較のためである。赤い方がより古い。博物館のと自宅のものとを比べている。

 よく似た太さのM12に比べるとネジ溝が深い。ということは疲労がそこから始まりやすいのだ。そのせいかどうかは知らないが、90年代からはM16に変更されている。

 それほど無茶をしたわけでもない。1mmの定尺板を連続で数枚切って、最後の一枚の耳を落とそうとしただけである。公称の性能の範囲だ。長年の使用により、金属疲労が進んで、たまたま今日折れたというわけだ。ブラス板はたまたま快削板ではなかった。快削ならより楽に切れるが、それが原因とは思えない。

 どうするか考えている。完全に復旧して1/2インチのネジを切るなら、旋盤でやると早い。筆者の旋盤はインチ仕様だから、ネジはすぐ切れる。しかしまた折れるだろう。クラブ員に詳しい人が居るから、相談することにした。

 この種の切断機をお持ちの方は、注意されたい。使用頻度が高いものは危ないと思われる。

コメント一覧

1. Posted by 春岡電鉄   2019年09月21日 14:39
情報ありがとうございました。
道楽の作業用工具で怪我をしては、本末転倒ですね。
念のため、切断機アームネジ部の破壊荷重を簡易計算してみました。
握り玉(赤)1/2インチネジは、アーム先端に約19kgの荷重をかければ曲げ破断します。
なお、1974年に購入した私の切断機アームのネジ径は、握り玉(黒)5/8インチ(外径15.88mm)ですから約41kgの荷重まで耐えられることが判りました。やれやれ。(写真下と同じもの)
2. Posted by モハメイドペーパー   2019年09月21日 15:38
 私も脚の間隔330mmのを使っています。真鍮板の1mmを切るのはかなりの力が必要なので、普段は0.8mmくらいまでにしています。1mmになったら丸鋸の方が安心して切れますね。
3. Posted by Salti   2019年09月21日 21:35
専門的な知識がないのですが、大きな力のかかるところで、ネジがネジ溝から折れるような使いかたは普通のことなのでしょうか。
4. Posted by dda40x   2019年09月22日 21:46
 コメントありがとうございます。
 専門家の話を聞きました。設計が間違っているようです。ネジに曲げ応力が掛かる設計はダメだそうです。
 それを受けて疲労の起こらない設計にします。さて、どうするでしょうか。
 一つだけ作るのは高くつくので、たくさん作りたいところです。買う人が何人いるか、全く予想が付きません。
5. Posted by Tavata   2019年09月23日 08:17
>>4
その通りです。
ネジは引っ張りに使うものです。
なお、鉄板にクラックが入ったとき、ストップホールといって、クラックの進行方向にあえて大きめの丸穴をあけて、クラックの進行を食い止める方法があります。
これは、クラック先端の狭い範囲に力(工学的には応力)が集中して破壊が連続的になるので、応力を分散させるのです。ストップホールは模型工作でも結構有用です。特にプラ板など、裂ける素材を切るときに行き先に先に穴をあけておくのです。そうすれば、間違ってその先まで裂けてしまう心配はなくなります。
ネジ溝のV字型の谷はクラック先端と同じく応力を集中させるため破壊が進展します。もし曲げに使いたいのであれば、ストップホールのように、谷溝をR加工しなければなりませんが、そんなネジはありません。
このハンドルならば、丸棒を丸ソケットに挿して止めネジでしょう。止めネジ穴は位置を考えて設計し、穴の周りを増厚するのがベターです。また、丸棒も段つきにするとネジの谷同様に段の底に応力集中が起こるので、段なしが宜しい思います。
6. Posted by Salti   2019年09月25日 21:00
これも専門的な知識がないのですが、普通のネジを引っ張り抜くような使い方も大丈夫なのでしょうか?ネジ式連結器のネジは角ネジのように見えます。でもターンバックルは普通の形状のネジ山ですね。
7. Posted by Tavata   2019年09月27日 00:04
>>6
どのネジも基本は引っ張りで使います。強度スペックも引っ張りで決まっています。一般に横向きの力(せん断力)に対する強度は引っ張り強度の6割ぐらいしかありません。
車のタイヤの取付ボルトは、一見せん断力でクルマを支えている様に見えますが、実は締め上げによってハブにホイールを押し付けて、そこの摩擦で車重を支えています。
また、今回の切断機のようにネジに曲げる力を掛ける使い方は、相当の軽荷重を除いて、普通はありません。

ネジ式連結器に角ネジが用いられているのは、強度ではなく、軽いトルクで締めたり緩めたりできるからでしょう。「緩みやすい」という難点が連結器では却って長所になります。緩み止めは、締め上げレバーの重みです。
ターンバックルは緩んではいけないので三角ネジです。
8. Posted by Salti   2019年10月08日 09:10
佐貫亦男氏の著書に下記の記述がありました。ネジは緊結固定用として使うものであって、いわゆる「ネジを抜く」使い方もあまりお勧めではないとのことですが、現役専門家のお話もぜひお聞きしたいと思います。

以下引用

翼桁前後におけるこのナットとロックナットの止めかたで、演桁の
前後高さ、すなわち、とりつけ角が調整できることは巧妙のようだが、きわどいほかに、つぎの大欠点がある。
すなわち、フォッカ!三葉の上翼の揚力は四本の垂直ボルト、というよりもその噛み合っているねじ山で受ける。ねじをこのように使うことはなるべく避けるべき(しかし、ターンバックルなどはこの方法を使っているから絶対に不可ではない)だが、設計者ブラッツはあえてこの方式を選んだらしい。とにかく、他の部分がいかに丈夫でも、この四本のボルトのうち、一本のねじ山が抜けたら、他のボルトは恐らくつぎつぎに曲がり、ねじ山も抜けるであろう。なぜこんなことをしたかと考えると、中翼、下翼も同じような方法で荷重を分散しているから安全としたためであろう。このあたりは設計者の信念の問題で、機械工作に自信があって初めて可能な方法である。
9. Posted by Tavata   2019年10月10日 23:49
>>8
実際のネジには、様々な方向の荷重が加わりますが、引っ張り以外の荷重を少なくする設計が望ましい、という意味です。
こういった設計に部材同士を締め付ける方法とターンバックルのような単純な引っ張りが含まれるでしょう。
部材同士を締め付けると、ネジ自体が少し伸びてバネとして働き、部材間が押し合って摩擦接合になるため、横方向の大きな荷重に耐えられます。
単純な引っ張りによる設計もネジの引っ張り強度の範囲内ならば問題ありません。このような使い方はフォッカーDr. 1のみならず、機関車の板バネとイコライザの調整用にダブルナットとともに用いられているのは、多くの方がご存知でしょう。
現代のネジでは、直径の60%以上の長さが噛み合っていれば、ネジ山が壊れる前にネジ自体が破断します。設計では一般にネジの直径以上の長さが噛み合うようにするので引き抜けることはありません。佐貫氏の記述は、ネジ自体の精度が低くてガタがあり、機体が木製で引き抜き強度が弱かった時代ならではの話だと思います。

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