2019年09月01日

続 またまた3条ウォーム

 むすこたかなし氏の目は、かなり細かいところまで届いている。インナ・レースは軸と共に廻るが、それがどこかに触ると、とんでもない損失を生み出す。ギヤボックスの内側は微妙に削り、何が起こってもインナレースが触らないように出来ていることを、見抜かれた。素晴らしい注意力である。これは、今まであまり誰も指摘しなかったことなのだ。

 今まで、いろんな方が作ったギヤボックスを見て来た。せっかくボールベアリングを使っているのに、ここが触っている例が多かったのだ。ウォームギヤは大きなスラストが発生するので、触ればそこで発生する摩擦損失は大きい。

 このギヤボックスは、ディーゼル電気機関車用に開発された。以前のΦ2.5軸系列のウォームギヤは、ロストワックス鋳物のギヤボックスを用いていた。鋳物は精度が出にくいので追加工をしたが、そのばらつきは無視できず、調整に時間が掛かった。それに要する時間がもったいなかった。噛み合わせ調整に時間を掛けるというのは無駄以外の何物でもない。
 だからギヤボックスを精密機械加工で作ろうとしたのだ。歯車の残数も少なかったので、思い切って完全な新規生産にした。

 潤滑はモリブデン・グリースをほんのわずか塗ってあるだけである。沢山入れると安心する人は多いが、決して褒められない。撹拌損失を増大させているだけである。歯の当たる部分にだけ塗ってある。互いに素であると、最初は渋くても、1分も運転すると極めてよくなじんでくる。もしこれが 30:2 だったりすると、ゴロゴロ感から逃れられないことがある。

 新製品の開発は成功で、時間の節約ができた。動力化する機関車の数がかなり多いので、多少の出費で省力化ができれば有難かった。しかも動力性能が完全に同一になるので、重連の時に全く問題がない。当時は博物館の構想すらなかった時代であったが、思い切って作ったのは大成功であった。

 歯車はたくさん作ったので、今後のギヤボックスは3Dプリンタで作ってみたい。ナイロン12で作るものなら、油に漬けても変化がないことが分かった。これについてはミシン油浸けで3か月間日光に当てた試験をしてある。

コメント一覧

1. Posted by northerns484   2019年09月03日 00:58
むすこたかなし氏の観察眼の鋭さと的確な説明とには脱帽です。
私も新旧のギアボックスに触らせていただきましたが、新しいギアボックスの圧倒的なスムーズさ、特に逆回転させる際のストレスがほとんど感じられなかった事、にびっくりしたのをよく覚えています。再生産が難しいと言うのが残念ですね。

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