2019年08月13日

Big Boyの排気管周り

Big Boy's exhoust nozzles 先日の記事で、排気は前後の煙突から均等に同時になされると書いたところ、そうではないと仰る方があった。その方を納得させるには、図面集を調べて、見せる必要があった。

 これは先方の単純な勘違いであって、見せる必要もなくすぐ解決したが、せっかくスキャンした図面があるので紹介しよう。この図はLocomotive Cyclopediaの1944年版からのコピィである。この年の発行数は極めて少なく、貴重な本である。日本には、まず他に持っている人はないだろう。とは言っても1941年版の図と比較しても、このページに限って言えば、さほど変化はない。お持ちの方は調べられると良い。文字の位置と図面番号が違う程度である。

 さてこの図では、中心線の左右で描き方が異なる。左は断面、右は外観も表している。前後から来た排気はここで合流する。そしてその上面にある十文字に排列された4本のノズルから噴出する。即ち、前後で8本のノズルがある。排気は煙突からぶら下がっている petticoat(スカート状のもの)の中に吹き込まれ、周りの煙を吸い出す。いわゆるエジェクタの効果を現出するものである。この中にはさらにもう一つのペティコートがあり、それは4つの裾をもつ。こうすることによって、排気はよりたくさんの煙を吸い出す。このあたりはUPの長年の工夫の成果である。

 前後のエンジンから来た排気はいったん小さな部屋に入るが、単なる接続箱であって、日本型蒸機についていた、排気膨張箱なる無用の物とは異なる。この部屋の名前が分からない。ノズルが載っているだけの、鋳鋼の前後に長い箱である。

 先のコメントで plenum という言葉を使った。それが正しい用語かどうかは分からぬが、この種のものをプレナムという。例えばエアコンで冷気を作り、それをダクトで各部屋に分配する時、最初に断熱した箱に入れ、それからダクトを使って分配する。そうしないとダクトごとの圧力が均一にならない。その箱を、plenum chamberと言う。
 また、汽笛の5室に均等に蒸気を当てるために分配する根元部分の小さな空間も、プレナムと言っていた。

 手に針金が入ったまま、飛行機に乗ることができた。しばらく休載する。

(註)最近は配列と書くが、本来は排列が正しい。排は並べるという意味である。台湾に行くと、駅のプラットフォーム床に”排”と書いてある。そこに並ぶわけである。

コメント一覧

1. Posted by Tavata   2019年08月13日 20:44
面白い図面ですね!
排気管のマルチノズルとスプレッダー構成(キルシャップと似ているが少し違う)に見られる隙間の作り方は、以前出ていた換気扇のバッフル板の話とも関連します。また、煙室とボイラー中心線がズレていて、しかも煙室中心線が後ろに傾いているのは知りませんでした。また、煙突間が凹みになっていますが、工作性を考えると凹ませずに平板で塞げばよい部分に思えます。煙突相互の熱膨張の影響を逃がすなど理由があるのだと思いますが疑問です。

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