2019年07月26日

NMRA Life membership

 M氏はNMRAの life membership 終生会員権を保持していることが自慢らしい。手元の1972年の全会員のリストを見ると載っていないから、それ以降の加入なのだろう。72年の日本の会員を見ると、山崎喜陽氏も載っていない。そこには、日吉菊雄氏や伊藤剛氏、他に製造業者約10人の名前がある。筆者が入ったのは1976年で、その当時のリストには載っている。筆者もライフメンバになろうと思ったこともあるが、その頃に「ライフメンバはお荷物」と称する記事が会報に載り、
「財政的には全く貢献していない。少ない金額で、多年の恩恵を受けられる制度はやめるべきだ。」
と主張していた。なるほどと思い、普通会員のまま、35年ほど入っていた。計算すると、ライフメンバになるための金額の二倍以上払っている。その間何度となく、様々な記事の執筆者に手紙を書き、意見を送ったりした。そのうちの何人かとは、後に会うことができた。

 これは、会員であれば当然のことである。活動を活発化するには、意見交換が大切だからだ。会員証を御札のごとく飾っていても、全く意味がない。そのうちに筆者はアメリカに引越したので、地域の催しには積極的に出て、本部との意見交換もしたし、なにがしかの寄付もした。チャタヌーガにある本部の建物のどこかに、筆者の名前の入った煉瓦がはめ込まれているはずである。
 そうこうするうちに、Paul Shimadaという人から電話があった。
「今度の年次総会に出ますか?会いたいのだが・・・。」
と言う。誰なのか判らなかったが、電話を切ってからNMRAの会長であることに気付いた。滑らかな英語を話す(2世だから当然か)、教養のある人だと感じた。すぐに電話を掛け直したら、今度は日本語で話し始めた。その日本語は分かりにくく、困った。

 年次総会に行くと待ち構えていた。筆者のことは日本に居る時から知っていたらしい。時々興味深い問い合わせがあって、記憶に残っていたと言う。日本に帰るのか、こちらに住むのかと聞かれた。「帰るのなら、NMRAの日本支部を開いて支部長になってくれ。」と言われた。
 まだこちらも若く、将来のことは決めかねていたので、とりあえずはお断りした。もしそうなっていたら、どんなことになっただろう。山崎氏が何か言ってきたかもしれない。
 その後、サクラメントに行ったときには、連絡してお宅に伺い、家族でご馳走になった。15年ほど前に亡くなったが、能力に満ち溢れた素晴らしい方であった。

 2000年代になってからはNMRAは徐々に変質し、HOの意見が強くなると同時にFスケールが台頭し、Oスケールの人たちは離れ始めた。2008年にRP25のありえない数字についての質問をしたのが、筆者の会員としての最後の活動だ。答えられる能力のある人はいなかった。出まかせのおかしな答を送って来て、それは間違っていると言っているにもかかわらず、勝手に規格表に追加した。それで筆者はNMRAとは決別した。その後時間が経ったから、規格委員は入れ替わっているだろう。当時、NMRAに意見を言ったとK氏に伝えたところ、「NMRAに意見するなんて・・・」と絶句していた。するべきなのである。しなければならない。

 ともかく、NMRAに入っていると嬉しそうに言う前に、会員としての活動をされるが良い。そうでない人は入っていても意味がない。規格その他はインターネットでも手に入るのだから。


 今回の「1/80はHO」の意見も、言うべきなのである。KATOの加藤 浩社長が言えば、採用される可能性がある。KATOはDCCの普及にも貢献し、アメリカでの評判はすこぶる高い。言えば必ず反響があるはずだ。M氏の言う、「相手にされません」というのは根本的に間違っている。
 今回の規格の改訂についても、M氏は一般人より触れる機会が格段に多いにも拘わらず、何も気が付かないというのは、鈍感以外言葉が見つからない。眺めていただけではないだろうか。


コメント一覧

1. Posted by がっちゃん   2019年07月26日 19:34
5 こんにちは。
鈍感という言葉を聞いてなるほどと思いました。

日本人は昔からStandardとかReferenceというものに疎いと言うか、なぜ市場の標準になっているもの、もしくは標準に近い物( de facto standard )を無視してまで、派生品を作るのかなと思っています。
実はカプラーの事なんですが、なぜKadeeで統一しないのか不思議でした。各社暗黙のうちにKadee互換で作っているのでしょうけれども、各社間ではうまく連結できない場面があります。まあ当方も蒸気の工作をするようになってIMONのカプラーに統一してしまったので言えた義理ではないのですが、自社規格品を作るなら、検証するにしてもたかが数社なのですから各社間で互換性を持って欲しいものです。貴殿が以前に仰っていた、雑誌記事の検証もされていない様子ですので、Validation や Compatibilityというものにも疎いのかもしれません。

言うべきという言葉に触発されましたので、ちょっとコメントさせていただきました。

2. Posted by 愛読者   2019年07月26日 23:17
すごい話ですね。もし、日本支部長になっていたら、とっくの昔に1/80は規格に入っていたかもしれませんね。さらに、日本人初のNMRA会長になられたかも知れませんよ。山崎氏や、マツケン氏はどのように接したでしょう。
活動してこその会員権というのは、とても心に響きました。教祖様たちは、何をしたのでしょう。
「このお札が目に入らぬか!」
の時代は遠く昔に過ぎ去りました。しかし、JAMもそれを引きずっているように思います。
おかしな人たちを一掃しないとダメでしょうね。
誰もが能力がないことに気付いている人を、今年も引きずり出す気配です。みんなが迷惑しているのに、ご本人は全く気付いていない。ほんとに困ったものです。

3. Posted by dda40x   2019年07月29日 11:02
 こうあるべきだという意見は言わねばなりません。また、それはこうするともっと良くなるという意見も大切です。
 私がNMRAの記事に対して意見を送ったのは、効率の測定をしていたHiggins氏や、あと何人かの有識者です。しばらく前のユニヴァーサル・ジョイントの間違いの件はレベルが低い記事だったので、読む必要を感じなかったのが、気が付かなかった原因です。
 当時効率を上昇させることに熱心だった人は極めて少なく、それがShimadaさんの目に留まったということでした。1985年のMRの記事は衝撃的であったと言いました。初めて会った年の翌年、カリフォルニアへの旅行の時に呼び出されて、ある有名なレストランで会いました。先日、私の長男にその話をすると、その会話の内容の一部をよく覚えていて驚きました。
 日本人なのに全米の会長になったのはその経営手腕です。会費だけでなく広告を取り入れたのです。すでにその時点で、会費による運営は難しくなっていました。終身会員の増加が問題になっていたのです。終身会員からは、寄付を集めるようになったとも聞きました。日本から払った人が居るかはわかりません。

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