2019年05月15日

線路、輪軸ゲージ

 ゲージ論が喧しい。筆者は傍観者に過ぎないのだが、当事者だと思っている人が多いらしい。ゲージ論はHO関連で発生していることが多い。 Oスケールは、ゲージ論がほとんど無い環境であって、過ごしやすいのだ。

 筆者はHOを所有したことは無いし、是非を論じる気はないが、一部の業者が使う言葉にだけは警戒している。人を動揺させて、自社の商品を正当化しようとしている、と感じる。「縮尺通りのゲージを採用している模型をファインスケールと呼ぶ。」というのは二つの誤りを含む。これを言うのは12mmゲージ、3.5 mmスケール(1/87.08 サイズ)の業界関係者である。(13 mmの人たちは、そんなことは言っていないようだ。)
 ゲージは正しいとは言えないし、finescaleの意味も正しくない。よく考えれば見破れるのだが、騙されてしまう人は多いと心配していた。(一説によると、シノハラの売っていたフレキ線路は12.3 mmゲージだったそうだが、この話の筋からは外れる。)

 そういうところにEmpirebuilder氏から直球を投げ込まれたので、紹介しているわけである。今回の問題に関しては、Empirebuilder氏がこの記事に対してのコメントを寄せられたのが最初だ。筆者のHOに対する知識は、皆無に近いのでお答えできなかったが、徐々に情報収集して看過できない状態にあることを知った。 

 日本は42インチゲージ(3フィート半ゲージ)を主たるゲージとして本線で使用しているから、車体の小さいナロゥゲージHOn3-1/2 などではないことになっている。
 しかし、外国から来た客を案内して駅に行くと、彼らは、
 ”Oh, narrow gauge!"
と、興奮するのだ。しかし車輛が来ると不思議そうである。小さくないからだ。明らかにフルサイズと言える車輛である。イギリスの車輛よりはるかに大きい。相模鉄道では、幅が 3 mもある大きな車輛が、42インチの線路を走っている。裾が絞られていない車輌もあるようで、JR車輛より広く感じる。これが日本独特の要素だ。

 さて表題のゲージ(寸法ゲージ)であるが、筆者は、そのゲージの線路が簡単に手に入らない環境にあると、そのゲージ(軌間)は発展しないと思う。
 このブログでそれを書いたら、一部の方から反発を受けた。13 mm用のゲージは頒布されたとのことだ。しかし、13 mmゲージャーの方に聞いてみると、そんなことは知らない、と言う人が複数いた。
 ということは、誰でもどこでも手に入る環境ではなかったということだ。有力な模型店には置いてもらうべきだろう。今ならウェブ上でアクセスできる環境になければならない。

「そんなもの、自分で作ればいいんだよ。」
と言った人がいたが、それは、そのゲージ(軌間)を自滅させる引き金を引いているのと同然だ。初心者が参入し易くするべきだ。誰でもできると思ったら、大間違いなのだ。
「上手な人しか、ここには来てもらう必要はない。」
ということを公言した人がいたそうだが、これは大変愚かな発言であった。筆者の知人はそれを聞いて、腹を立てて参入をやめた。

NMRA gauge 写真は、筆者が持っている NMRA の”O gauge” である。1970年代に買った。当時送料込みで2ドル弱だったと覚えている。これはステンレスの打ち抜きであるが、今なら、どんなゲージでもワイヤ・カット、レーザ・カットで簡単にできる。まず、これが誰でも手に入れられるというのが、第一歩だ。 


NMRA O scale Mark IV 現在はMark IVになったようだ。これは外周が建築限界になっている。1枚7.5ドルだそうだ。この価格は送料別である。

 

コメント一覧

1. Posted by 森井義博   2019年05月15日 16:58
9mmゲージの線路、輪軸ゲージを日本で持っている人は何人いるのか統計はありませんが、割合的には0%に近いと思います。
しかしながら、日本においては最も発展したゲージ(軌間)です。
本来の工業製品は、末端ユーザが寸法確認用のゲージを持つ必要は無いと思います。
もし、寸法確認用のゲージが初心者に必要とすれば、製品毎の互換性が無い、製品として失格の状態であると思います。
物を作る側(自作等を含めて)にこそ、寸法確認用のゲージが必要であると思います。
1/87 12mmゲージの場合、立ち上がり時の1980年代初頭には、輪軸の最小限の規格はあったものの、線路の規格すらなく、線路、輪軸ゲージ以前の状態でした。
最近は、輪軸、線路共に規格があるので、線路、輪軸ゲージは作れる状態です。
(誰がコストと労力を負担してどう作っていくのかの問題はあります)
1980年代以前のNMRAのTT(12mmゲージ)の規格は使い物にならず、日本の1/87 12mm発足時はNMRA TTの規格が消滅していたらしく、2010年改訂のTTの規格が、2001年に制定した日本の1/87 12mmゲージの規格と非常に似ているのは面白いです。
1/80 13mmゲージは、輪軸の規格(の一部)は公開されているようですが、線路の規格は、一部の人が知っている(本当に決まっているのか疑問)だけのようです。
1/80 16.5mmゲージは、日本で2番目に愛好者が多いですが、市販されている輪軸は、必ずしもNMRA S4.2のHOに準拠しているわけでもないので、NMRAの線路、輪軸ゲージが使えるかは疑問です。
それと、NMRA HO用の線路、輪軸ゲージMarkVについては、薄板のプレスのせいか、平面度が悪く、凸凹でゲージとして信頼できるのか疑問に思ってしまいます。
2. Posted by たづ   2019年05月15日 20:08
> ”Oh, narrow gauge!"
と、興奮するのだ。しかし車輛が来ると不思議そうである。小さくないからだ。

「模型用語」としては「軌間」に着目した言い廻し自体が向いていないのかもしれませんね。
同じ3’6”狭軌でも地方都市の路面電車とかであればそういう顔はされないと思います。ただ、旧国鉄の「簡易線」はどうなのか、というとまたややこしいのですが。

一番下の写真のようなテンプレートの現物は、Nのものしか見たことがありません(それすらもジョイナー交換治具のオマケです)。HOのものも少なからず需要があるはずですが、全く流通していません。
スパイク用の四点式・三点式の定規はどのスケールのものも全く現物を間近に見たことがありません。ここまで衰退するとは思っていませんで、学生の頃に買っておくべきでした。組線路以外は個人輸入でもしてハンドスパイクするしかない今の鉄道模型では、自滅を招いているとしか言えない状態です。
3. Posted by Tavata   2019年05月16日 09:08
NゲージのLoading gaugeはカトーのリレーラーに付属しているのでとても簡単に手に入ります。ただし、それを活用している人をほとんど知りませんし、私の場合はナロー(つまりNよりかなり大きい)が多いので、自宅の汎用レイアウトでは最大級のベモの車両(ドイツナロー)から限界を決めています。輪軸のゲージはKDカプラーの高さゲージに付属しています。
森井氏の仰るように末端ユーザーがLoading gauge(を含めた規格類)へのアクセスを必要としないのは、直感的に扱える(intuitiveな)製品のあるべき姿でしょう。また必要な人が必要なときに規格にアクセスできることと両輪が理想だと思います。

「ナローゲージ」に対する違和感ですが日本の42 inchというより、高密度であれだけ多数の電車が走り回ってることが、所謂ナローの用途イメージからかけ離れているのではないとと思います。(欧米なら改軌してしまうレベルかと)
同じゲージでもCape gaugeといわれる南アフリカは車両はさらに大きく長いですし、アメリカの3 footerたるRio Grandeナローにしても最大車幅は10 feetほどあったと思います。ドイツナローの車両も巨大です。
模型についてはアメリカでSn42のレイアウトを見たことがあります。実見までは規格が「???」だったのですが、なんてことはなくNZのサブロクを16.5mmで作ったものでした。これは完全にNZの車両のみを対象にしており、日本の16番(HO?)のように「多国籍」は全く考えておらず、もちろん車両限界もHOとは異なっていました。

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