2019年04月05日

運河の掘削

 パナマ運河は、当初水平式を計画したようだ。実際に掘り始めてはいるが、すぐに挫折した。スエズとは違って、途中の山を崩すのがあまりにも大変であったからだ。川を堰き止めて人口湖を作り、それでつなぐことにしたが、航路は屈曲している。最終的に峠を切り開かねばならなかった。ある程度真っ直ぐにしないと意味がないので、いくつかの山を削り取っている。

Culebra Cut その中で最大の難所が、この Culebra Cut である。ちょうど分水嶺になっている部分で、海水面からの高さは100mほどもあったろう。その山を全部掘り崩し、深く削ったのだ。工事は困難を極め、死傷者が続出した。岩が脆く、地滑りが起こりやすかったのだ。完成後にも何度か地滑りを起こし、運河は埋没したらしい。浚渫は何度も行われている。
 現在では特殊な杭(アンカー付き抑止杭を山に刺し、板で押さえて崩れないようにしてある。このあたりの説明を、船内の映画で何種類か見た。

 映画には当時の最新型の掘削機や、バケットを連続させたエクスカヴェ―タが登場した。すべて蒸気機関で動いている。ズリの運び出しにはダンプ機能を持つ貨車が初めて用いられた。斜面のガイドレイルに当てて、一編成を順次連続的にダンプする工夫で、今では常識的な手法だが、ここで用いられたのが最初らしい。

 工事に伴い病人が続出した。黄熱病、マラリアなど、蚊を媒介とする病気だ。それについては、世界で初めて、広大な地域全体を防除する体制が採られた。強い薬ではなく、特殊な油を薄く撒く方法である。蚊の親油性部分に付着して、生きていけなくする工夫であった。蚊は、水にぬれてはいけないところは水を弾くように出来ている。その部分は油にぬれやすいから、付着して呼吸できなくなる。
 その工夫は大きな効果を発揮し、病人は激減した。

 パナマ運河は、人類が成し遂げた大偉業であるというのは実感できる。現在の様子は、この動画で楽しめる。100倍速のタイム・ラプスで、数分で太平洋側からカリブ海へ抜ける全線が見られる。2分50秒辺りがクーレブラ・カットである。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
「最新トラックバック」は提供を終了しました。
Categories
  • ライブドアブログ