2019年02月23日

ゲージ論は終焉を迎えるか

  ゲージ論のコメントは、静寂の状態が続いている。どなたからも反論がない。非常に主観的で、国粋主義的とも取れる情緒的なご意見は戴いたが、それらは掲載を控えている。

 Empirebuilder氏から、最終的と思われる意見が届いたので、3回に分けて紹介する。先のコメントに大幅加筆されたものである。

 いろいろなコメントを読ませていただきました。もう一度整理をしてみましょう。

 私の考えは最新の線路、車輪のNMRA規格を元にしています。米国の規格ですが、これはグローバル・スタンダードであると言えます。

 まず用語ですが、NMRAHO scale standardを、「HO規格」と書きます。HO guageHO規格に含まれますので使いません。注意していただきたいのは、scaleは縮尺ではありません。正しい訳は難しいですが規格かもしれません。縮尺はproportionです。繰り返しますが、HOゲージとHOスケールの違いなど議論する必要はありません。 

 NMRA規格は2010年ごろ改定されましたが、かなりドラスティックな改定でした。ある意味、現状追認型とも言えます。個人的にはLSスケール(NMRAGスケールをLSスケールと呼んでいますが定着していませんね)、On30の登場が影響したと思っています。この改定はそれ以前の縮尺、ゲージの考え方とは一線を画する内容です。今までのコメントでは、どなたもこの理解をされていないように感じました。 

 LSスケールでは現状追認の形で、一つのゲージに複数の縮尺を認めています。線路と車輪、車両限界をを共有することで、ナローから本線機関車まで同じ線路上を走っています。On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。On3の線路の代わりに、全く縮尺の違う線路を使うこのアイデアは、市場に受け入れられ、本家のOn3を凌駕する勢いです。 

 このようにNMRA規格はゲージ、縮尺にこだわらない、模型的な発想の規格を容認する形に変貌しました。これを見れば、線路を共有することがいかに有効な戦略であるか、お分かりと思います。市販線路のないFine規格が伸び悩んでいるのとは、対照的です。 

 NMRA規格では縮尺に関する規格はなく、寸法で表されています。目標値、±公差が書かれています。公差はありますが、なるべく目標値に合わせて、と書いてあります。Scale Ratioの表記は車両限界と思います。 

 最初に線路と車輪の関係について書かれています。主にポイント通過時のレイルと車輪の位置関係が図示されています。この図を数値化したものがHO規格です。フログの欠線部に落ちる前に、ウィングレイルに車輪が乗り移ることが基本です。すなわち、フログ部分で車輪が落ち込まないようにするには、車輪の厚みが重要になります。以前のこのブログの記事に、NWSL ATLASと、Low-D を並べた写真がありましたが、明らかにLow-Dの車輪が一番厚いのがわかると思います。スケール感より、走行性能を重視しているからです。

 他にも規格がありますが、この線路と車輪の規格が今回の主題です。私はこの規格をもとに日本型、米国型が並んで走るレイアウトを製作中です。ともに問題なく同じ線路上を走っています。同じ規格でできた線路上を、米国型とともに走る日本型もHO規格です。NMRA規格上は、これらは同じHO規格です。縮尺はもともとNMRA規格にはありません。線路、車輪自体も縮尺通りではありません。

 それがHO規格なのです。これが準拠の理由です。もともとゲージを変え、縮尺を変えてHO規格に合わせたのですから当たり前なのですが。 

 もし私の考えに反論される場合は、NMRA規格のどの部分か指摘していただけると助かります。歴史的経緯は意味がありません。NMRA規格自体を否定される場合は、しかたがありませんね。(続く)



コメント一覧

1. Posted by たづ   2019年02月23日 18:06
情緒論と結びつきやすいのが残念なのですが、かつてOO〜HOのスケールとその中間の1/80に日本で「16番」という総括呼称で定義していた状態を更に進め、そのほぼ倍寸の大スケールのナローでも軌間さえあうならば同じ線路・車輪の規格とする、をNMRAも大前提にしたわけですか。
多少気になる点というと、デュアルゲージ区間で準軌と狭軌(3’6”や2’6”)が走る場合のポイントの作り方をどうするのかが残るのですが、まあそもそもレアケースでしょう。
TMSに時々欧州のメッセリポートが出ますが、KATOが日本式の1/150・9mmで作ったスイスの米軌私鉄車両があちらで一石を投じたようです(模型業界はすぐ理解したものの逆に、意匠権を持つ当の私鉄がなかなか理解しなかったらしいですが)。
とはいえ元々イギリスのN模型は日本とほぼ同じ1/148でしたし、やや古い時代の欧州大陸のHOでも走行を前提に断面は1/80で前後はデフォルメして1/100もありましたから、走行を第一義にすると縮尺は近い範囲であればよくなったのですね。
2010年のNMRAstandardの状態がもっと古くからあれば、新幹線だけ1/87や1/160で混乱したり、やたら高いのに走行性能が伴わない1/87の3’6”模型が珍重されたりなどということを避けられたかもしれません。

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