2018年09月04日

塗装ブース

 塗装ブースの設計に関することで、問い合わせを戴いた。現物が今はないので写真をお見せできないが、基本概念だけは図で説明できる。

 様々な形の塗装ブースが発表されているが、そのほとんどは気休めの域を出ていない。大量の空気を吸えばそれで良いはずだが、現実にはワークに当って跳ね返ったものは吸い込まれないこともある。ある友人の塗装に立ち会ったことがあり、部屋中にシンナの臭いが立ち込めたことが、それを裏付けている。

 少ない風量で、完全に近い吸い込みを期待しようと思うと、風速を上げることである。風量が限られているから、断面積を小さくするしかない。

fume hood 化学実験室には、fume hood(日本ではドラフト・チャンバーという怪しい言葉が使われている)がある。有毒なガスが出る実験はこの中でやる。そのガスが重いか軽いか、によって下の出口をあけたり、上をあけたりする。その手前にはバッフルという板があって、空気はそこの上下にあるスリットのどちらかから吸い出される。よくできた装置では、少ない風量で完全に吸い出される。前面のガラス戸も汚れない。これを見て閃き、自宅の台所の換気扇を改造した。

kitchen hood 30年以上前に住んでいたマンションの台所の換気扇は、何の工夫もない単なる箱状のもので油煙は溢れ出し、部屋が汚れた。風量を増すのは大変だったので、中にバッフルを吊り下げた。アルミ板を曲げてぶら下げただけだったが、効果は覿面で、煙は完全に吸い取られた。

 kitchen hood improved 煙はバッフルに当って横に移動する。その端の部分の流速は、今までの10倍ほどもあるので、煙ははみ出すことなく吸い取られる。おそらく、当時そのような台所換気扇は日本で唯一であったろう。特許を取っておけば良かった、と今でも思う。しかしその特許が売れたかは怪しい。このバッフルつきが商品化されたのは、ここ数年のことであるからだ。その購入者も理屈を理解しているようにも見えない。ただ意匠上のことだと思っているようだ。上記のリンクのカスタマーレビューの中にも、”カバーがある分吸い込み能力は並”と書いてあることからも推測できる。ずっと性能は良いはずである。メーカは、どうしてその機能を謳わないのだろう。
 
 その後転居して、現在の住居では油煙の出る物は外で調理するので、コンロの後ろから上にせり出して来る、簡単な局所換気扇で用が足りるようになった。(リンクは一例である。筆者宅のはもっと原始的なものである。) 

 現在の住居に引っ越してから、模型の塗装は外でやるようになったので、塗装ブースは作りかけて何年も放置されている。バッフルも用意したがまだ付けてない。


コメント一覧

1. Posted by 森井義博   2018年09月05日 13:20
塗装ブースで、「ネロブース」(https://twitter.com/NeroboothTokyo)というのがあって、購入を検討していたのですが、何かの理由で、一時販売休止となってしまっています。
これは、バッフルが付いています。
2. Posted by 5satins   2018年09月05日 20:18
ネロブースはこちらの会社が作られているようです。名称も異なるようです。ご参考までに。
https://hide58.wixsite.com/machidamokei
3. Posted by dda40x   2018年09月07日 21:28
 生臭い話ですね。そんなことなら、私が作って売り出しましょうか。板金工作は得意ですから。
4. Posted by yusa   2018年09月17日 14:44
目から鱗でした。
こういう基本的な改良で変わる物なのですね。
自作でも作りたいですが私に上手く行くかどうか…
5. Posted by dda40x   2018年09月17日 19:47
yusa様
 このバッフルは製作時間はほとんど掛かりませんが、効果は絶大です。ファンが軸流型(プロペラ型)の場合はファンより10 cm以上、バッフルを離すと良いです。ファンが遠心型の場合は距離が近くても良いのです。
 流速が上がると、全くと言ってよいほど跳ね返りがなくなります。シンナのガスは健康にはとても悪いので、バッフルを付けて、より完全な換気に努めてください。
 バッフルがあると、換気量が少なくても効果があります。即ちエアコンを効かせた状態でも、外から湿気を持つ熱い空気が入る量が減らせますから、省エネルギィです。

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