2018年08月03日

続 職人たち

 HOの蒸気機関車の窓枠を抜くのは面倒だ。細い十字の窓枠を残さねばならない。

 祖父江氏に聞いた話だ。竹野三郎氏という職人がいた。彼は0.2 mmのブラス板を12枚重ねてハンダ付けして糸鋸で抜いた。もちろんヤスリを掛けてから、ばらばらにする。大したもんだということになったが、祖父江氏が
「そんなもの、タガネでも抜けるぜ。」
と言って、6枚ずつ重ねて万力に銜え、先を斜めに研いだタガネで打ち抜いた。万力には研いだ口金を付けているのは言うまでもない。
 板厚の半分の 0.1mm ほどずらしてやれば抜けるという。剪断による歪が出るから、そのひずみを窓枠に関係ない方向にもっていくのだそうだ。抜いたカスは、菱(ヒシ)の実か、蕎麦殻のような形になる。こうして6枚ずつを2回で12枚抜く時間は、竹野氏より短かったそうだ。

 こういった特殊技能の自慢会ができるくらい、素晴らしい職人が揃っていたのだ。竹野氏は、PFMのリストにいくつかの作品が載っている。

 日本には錺(かざり)職人の系譜がある。とんでもなく細かな作業をキサゲとヤスリでやってしまう。そういう人たちは、腕を磨いて、自慢し合っていたのだ。ライアンが来た頃には、その種の職人がたくさん居た。

<追記> 
   mackey氏の情報により、竹野氏のフルネームが判明した。感謝に堪えない。 

コメント一覧

1. Posted by mackey   2018年08月03日 18:18
初投稿の愛読者です。お話の中の竹野氏は私の母の叔父に当たる方で、天賞堂等の仕事をしていたそうです。中学生の頃に一度会っただけですが、引退してからも熱心な方が訪ねて来て特注で製作した事が有るそうです。
2. Posted by dda40x   2018年08月03日 20:12
mackey様

投稿ありがとうございます。
竹野氏のフルネームがわからなかったのです。
差し支えなければ、お知らせ戴けませんか。

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