2018年07月04日

快削ブラス

 快削ブラスを紹介したのは10年以上前だ。それについては、誰からもコメントが無い時期が続いたが、数年前に仙台の今野氏が反応して下さった

 糸鋸でブラスの板を切るのは、ちょっとした骨(コツ)があって、習熟するまでに、多少の時間が掛かる。良い糸鋸刃を買えば少しは楽であるが、それでも初心者には大変である。高校生の時から数えて、糸鋸刃を一体何本折ったのだろう。数えてはいないが膨大な数であろう。ブラスには、刃が喰い込みやすいのだ。

 昔、アメリカでブラスの色が違うのに気が付いた。アメリカのブラスでは、ヤスリ掛け、糸鋸、ドリルでの穴あけが非常に楽である。自分ではやらなかったが、プレスでの窓抜きも簡単である。抜いた後ヤスリを掛けなくてもよい。それを使うと、糸鋸を折ることが少ない。1ストロークで切れる量が、普通の2倍以上である。

 今野氏は筆者と同様、糸鋸、ヤスリを良く使われる方だ。そういう人には、快削の有難みがよく分かって戴ける。
 筆者はブラス板を買うときは番号で買うが、その板はそれほど良く売れているわけでもなさそうだ。聞き直されることがある。ということは、ほとんどの顧客は快削材を使っていないということだ。快削材は別名”クロック板”という。クロックは時計である。掛時計の歯車を作った時の名残である。普通のは”コーペル板”というのだ。copper(銅)という名前から来ているのだろう。

 アメリカのブラスを今野氏に送って評価して戴いている。日本のクロック板より、さらに快削である。糸鋸の1ストロークで切れる長さが3倍近いように感じる。腰が強く、バネ性がある。色は緑がかっているように感じる。削って新しい面を出したとき、白味を感じるが、徐々に酸化されて緑っぽくなる。

 先日の記事でブラス工作をする人が減ったことを書いたが、その一つの原因は快削材を使わないからである、と筆者は思う。サクサクと切れて仕上がりが綺麗だから、工作は楽で、なおかつ美しいものができる。
 糸鋸を、殆ど折らずに工作できるのは有難い。TMSに「快削材を使うと良い」と、どこかに書いてあっただろうか。もし御記憶の方はお知らせ願いたい。この不作為が、現在のブラス工作をする人が減った大きな原因の一つである、と思うのは筆者だけだろうか。


コメント一覧

1. Posted by たづ   2018年07月04日 22:18
真鍮に快削とそうでない材があったとは知りませんでした。結果的にですが、今まで回ったことのある店のは、全て銅・亜鉛だけの非快削でした。
素材単価としてはどうなのでしょうか?
日本で流通が少ないためか、検索の限りではかなり割高な感もしますが、成分には特段高価な金属が入っていません。需給バランス次第で大きく変化する可能性がある気がします。
「快削材を使うと良い」どころか、「切りにくければ適宜注油」すら日本の模型雑誌にはなかったような気がしますが。
2. Posted by メッサーシュミット   2018年07月04日 23:43
東急ハンズ等に行くと、真鍮丸棒は、快削材なんですが。

それとプラスチック素材に鑢掛ける模型工作人は、多いのでしょうけど、金属素材に鑢掛ける模型工作人は、少ないのでしょうか?

3. Posted by YUNO   2018年07月05日 16:35
切削は簡単になりそうですが、曲げはどうでしょう。
HO以下ですと屋根やボイラーのRがだいぶ小さくなりますから、固い材料はそこが心配です。
4. Posted by コン   2018年07月05日 18:00
おっしゃる通り、米国の快削材はさらに素晴らしいものでした。腰が強く強度もあります。頂いたサンプルは大事に使いますが、入手出来るものなら入手したいと思っています。
KKCでは殆どの会員が快削材を使っており、好評でした。先日のスワップでは完売で、特にt1.0は瞬殺でした。
5. Posted by 森井義博   2018年07月05日 22:39
真鍮棒材はずっと前から快削ですよ。
快削でない真鍮棒材は見たことがありません。
逆に真鍮線材は快削ではありません。
40年近く前に福原金属へ行ったら、棒材、線材のどっち と言われ、快削、非快削の講釈を受けました。
福原さんが亡くなって10年以上が経ちますが、亡くなるよりも何年も前から快削の真鍮板を販売されていました。
6. Posted by brass_solder   2018年07月06日 21:44
本文に
>糸鋸でブラスの板を切るのは、ちょっとした骨(コツ)があって
>プレスでの窓抜きも簡単である。
等の記述がありますから「板」について書かれた記事だと思います。

私は長い間鉄道模型の雑誌を読み模型店で真鍮板を買いましたが、最近になるまで真鍮に種類があるなんてことは知りませんでした。
確かに棒は切り易いと感じていましたが快削の存在を知らなかったので切り易い理由は判らなかったのです。
曲げる物にはC2801 曲げないものにはC3604ともっと早く知っていれば少しは糸ノコの節約になったかもしれません。
7. Posted by dda40x   2018年07月13日 22:31
丸棒角棒は、すべてが快削材ではありません。世の中はそんなに単純ではないのです。手元の2 mm角材がとんでもなく粘る材料で、糸鋸で切るのに苦労します。ヤスリを掛けても、ダレが出ます。

鉛が少し入っているだけで快削になるのですが、最近は水道工事に使うものに鉛が入っていると毛嫌いされます。
したがって、水道部品の挽物には別組成の快削材を使うのです。それでどうなるというものでもないのですが、自称環境派の人たちの声が大きいのです。鉛は地表における存在率が比較的大きな元素で、騒ぐほどでもないのです。
8. Posted by 森井義博   2018年07月14日 00:10
JISを確認してみました。
真鍮棒にも、真鍮線にも黄銅(非快削)と快削黄銅の規格がありますね。
9. Posted by 愛読者   2018年07月14日 09:54
断定的に書いておいて間違っていたら、何か一言あっても良さそうだと思いますが。
10. Posted by 森井義博   2018年07月14日 22:59
>断定的に書いておいて間違っていたら、何か一言あっても良さそうだと思いますが。
これは私へのご指摘だと思います。
コメントのNo8の1つ前の私のコメントが無かったことになっているので書きますが、真鍮棒は快削、真鍮線は非快削という認識で概ね間違ってはいないと思っています。
但し、規格上も技術的にも非快削の真鍮棒、快削の真鍮線は製造可能なので、例外もあるというのは認めます。
快削黄銅の鉛含有率はRohsで許容される範囲内ですので、輸出上の問題はないと思いますが、鉛嫌いが多いのか、カドミウムレス&鉛レス快削黄銅というのも開発されていていますね。
11. Posted by メッサーシュミット   2018年07月16日 14:52
鉛は重金属中毒の一種ですが、人体への問題は、摂取する量ですから。

狩猟で使う鉛の弾等は鉛から銅の弾に変わったようです。死んでいる獣を鳥が食べて中毒になるからでしょう。

しかし、あくまでも摂取量が多い場合、中毒になる訳ですから、ハンダに含まれる鉛や、真鍮快削材に含まれる鉛を問題視するのはどうかと思います。

近年問題になっていたのは、チャイナ製品でしたが子供が手にするミニカーの塗料に鉛が含まれていたことです。
これは所謂、健康被害って事だと考えていいと思います。

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