2018年06月24日

ブラス離れ

 3年ぶりの O Scale West 参加で、気になったことがある。ブラス離れである。昔はブラスの機関車が大量に並び、1000ドル から 4000ドル くらいの値札が付いていた。今回は過去の10分の1もないという感じだ。しかも安い。
 多少の破損品がとても安い。3日掛けて修理すれば直るものが、適正価格の1/3で出ている。筆者はすでにコレクションを終わっているのでもう要らないが、若い人は欲しいだろう。旋盤を持っていて炭素棒ハンダ付けができれば、すぐ直る。

 もうブラスの機関車を加工できる人が少ないのだ。これは由々しき事態である。
 ブラス偏重を攻撃する人は多い。進歩的と言われる人はそれに同調する。しかしながら、金属以外の材料で作られたものは、50年というタイム・スパンで考えると持たない、というのは客観的な意見である。ダイキャストも怪しい。
「趣味は作った時が楽しいのだからそれで良い。」という意見もあるが、この趣味を盛り立てて行こうと思うと、それでは心もとない。

Lobaugh Cabeese 今回も、昔は価値のあった Lobaugh のカブース・キットが25ドルで投げ売りされている。一つくらい買おうかと思ったら、その男は下からもう一つ出して、
「これも買ってくれたら40ドルで良い。」と言う。思わず2種買ってしまった。
 いずれ発表するが、重厚な仕上がりの期待できる素晴らしいブラス・キットである。
Lobaugh の砲金鋳物の台車も各種調達した。今となっては貴重なアメリカ製のブラス製品である。祖父江氏はLobaughの機関車を見て参考にしたのだ。
 アメリカ製のブラスは、すべて快削材である。糸鋸でサクサクと切れる。色も違う。日本製は黄色いが、アメリカ製は緑っぽい。

IMP stock car  1950年代のIMP (International Model Products) の家畜車も安く押し付けられた。厚さ10mil (0.25 mm) の材料で、ハンダ付けが最小限だから、とても弱い。握ると凹むし、パラパラと部品が取れて来る。よくもこんなにハンダをケチって作れるものだと、妙に感心した。
 帰宅後直ちに全部の部品を引っ張り、取れそうなものはすべて外したのち、ハンダを贅沢に使って修理した。センタービームにはブラスの厚板をハンダ付けして連結器周りの強度を確保した。僅かのロストワックス・パーツを付け、手摺り等を補う。連結器、台車を取替えると当鉄道仕様となる。


 久し振りに会った友達が来て、箱を開けて中を見せる。
「どうだい、これ欲しくないか。200ドルでいいよ。」とCentral Locomotive Works の機関車キットを示す。
「君ならすぐ組めるだろ、組んだのを持って来てくれれば400ドルで買い戻すよ。」と抜かす。冗談じゃない。

 要するにもう彼らの大半がブラスと縁がないのである。日本も同様な時代に入ったと思う。それだからこそ、博物館が開いたら、ブラス工作教室を開きたい。


コメント一覧

1. Posted by YUNO   2018年06月24日 08:16
ある程度の工作や修理を経験しなければ技術は会得されませんが、今の時代にたくさん修理する機会を持てる人は極めて希でしょう。
結局「旋盤があれば直せる」のは限られた人だけになってしまいます。興味のある人は決して少なくないはずですが、道具だけあっても仕方ありません。

つまるところ最大の問題は、教える人や学ぶ場所の不足でしょう。工作教室には期待しています。
2. Posted by 一式陸攻   2018年06月24日 08:17
今雑誌では3Dプリンタ出力での製作記事などが流行し、ブラスやペーパーなどが一旦追いやられてしまっているように見えます。
当方もその時良ければ良いという刹那的な考えでしたが、Oスケールの車両を自作しているうちに、そもそもプラなどでは自作で頑丈な車両を作るのはかなり難しいということに気がつき、ブラス併用のペーパーに移行しました。
ブラスほどではありませんが長持ちしますし、ブラスを併用することで比較的簡単に頑丈に作られるようになったように思います。
ブラスはやはり、糸鋸で切らねばならない、というのと高温の半田で組み立てなければならないというのが敬遠されるのでしょうか。
快削材はまだ試していないので前者については正直面倒さを感じるところですが、後者については接着剤組み立てよりはるかに楽で確実であるように思っています。
3. Posted by きんぎょ/中澤   2018年06月24日 21:06
16番1/80ですが、休車状態だった1966年に自製真鍮エッチング板で作った二軸単車を更新修繕しました。小さなものですが、50年経っても車体も塗装もしっかりしていて、そちらはほとんど手を入れる必要がありませんでした。走り装置を一新して、密閉ギアボックスの間に両軸小型モーターを入れて、車軸にイコライザーをかけ、ロンビックイコライジングを試みました。大変快調に走ってくれています。真鍮板材で、しかも窓枠などの重ね張り半田付けをしていない構造だったので、50年間痛まずに残ってくれて、再び工作を楽しむことが出来たのかな、と思います。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1546961165433357.1073741867.100003584659036&type=1&l=9e43120f91
4. Posted by メッサーシュミット   2018年06月25日 00:41
旋盤が有れば…
鉄道模型工作する人が、全て旋盤を持っている訳ではないと思います。さらに、金属の鉄道模型工作をするにはハンダ付けが出来ないと、ちゃんとした工作にはなりませんから。そこから教えられて始める人がいないと、興味の湧く人は増えないのかも知れません。
まあ、そこからとなると、頂上まで行ける人は出て来ないかも知れませんが。
5. Posted by ゆうえん・こうじ   2018年06月25日 23:38
旋盤というとみなさん挽物をつくる道具としか思っておられないようです。
買ってそのままだと確かにそうですが、私は旋盤でアダプターをつけてリベットも打つし、動輪の位相合わせもしています。
dda40xさんがおっしゃりたいのは、「旋盤で挽物をつくる」ということではなく、「工作機械を使いこなす」ということだろうと思います。
そういう意味ではサカイML210とかユニマット3といった入門用の旋盤が販売されなくなってしまったのは残念です。
工作教室ではそういう旋盤を使った応用工作についても教えていただきたいです。
6. Posted by dda40x   2018年06月28日 06:20
たくさんのコメントありがとうございます。

糸鋸作業は快削材を使えば実に楽です。そういうことをTMSで一度でも扱った記事があったでしょうか。私も昔は糸鋸作業が苦痛で、どうしてこんなに刃が折れるのかと思っていました。
ハンダ付けは骨(コツ)は二つしかなく、大きなコテを使うこと、フラックスに塩化亜鉛を使うことです。中澤氏のコメントにもありましたように、重ねてハンダ付けすると中にフラックスが閉じ込められることがありますから、そういう時には全面ハンダ付けをします。こういう情報もTMSにはありませんでした。

費用対効果を考えると、旋盤は安いものです。機関車を買う金があったら、最初に買うべきです。これもある程度の指導者に付かないと、使いこなせません。最近は町工場がほとんど無いので、難しいかもしれませんね。材料はクズ屋で買うべきです。HO以下なら新品を買っても知れていますが、大物は高いのです。

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