2018年01月30日

御殿場線ものがたり

御殿場線ものがたり たまたま寄った古本屋で見つけた。福音館の子供向けの「たくさんのふしぎ」シリーズの一つだ。30年ほど前の号である。このシリーズは我が家の子供たちも読んでいたが、これだけは買っていない。アメリカに居た頃なのだろう。その後の調べでは、再版されて単行本になっているようだ。


御殿場線ものがたり2 著者は宮脇俊三氏、絵は黒岩保美氏である。間違いは無さそうだと手に取って、中のページをめくって驚いた。どの絵も素晴らしい。特に筆者はこの見開きの絵を見て、衝撃を受けた。このようなスイッチバックを作りたいと思っていたことがあるからだ。すぐに買って、帰りの電車でじっくり読み直した。

 御殿場線は田舎を走っているのに、隣に線路があったような跡があるのはなぜ?駅の構内が広いのはなぜ?という疑問から始まる謎解きがある。

3御殿場線ものがたり 東京駅から電気機関車でなくC51の牽く特急が国府津に到着すると、30秒で後補機のC53が連結され、峠まで押していく。そこで走行中解放する様子が躍動感溢れる絵で表されている。東京から電気機関車だと、付け替えの時間が掛かるからだ。


 当時はC53が出たばかりなのだが、特急「燕」の本務機はC51なのだ。信頼性があったのだろう。一方、普通列車は小さな機関車で牽いている。

 筆者も関西本線でC51が本務機の、重連鳥羽行き快速に乗ったことがある。C55と組んで、ぶっ飛ばした。当時名古屋ー桑名間(23.8 km)は18分であった。平均速度は 79.3 km/h である。当時近鉄は木曽三川を渡る鉄橋が古く、そこでの最高速が40 km/h に制限されていて、とても国鉄の快速には敵わなかった。
 その後この記録は40年間破られることなく、ディーゼル快速「みえ」で再度18分になった。今は最速17分半だと思う。

 C51はブラスの帯を沢山巻いた、お召し列車に使われるような機関車で、古いけど魅力的であった。その列車と相前後して発車する湊町行き快速も良かった。それはたいていC55とC57の重連であった。昭和33年頃の話だ。毎日駅まで行って観察していた。素晴らしい時代であった。写真があれば・・・、としみじみ思う。


コメント一覧

1. Posted by 一式陸攻   2018年01月30日 10:10
この本、当方も所蔵しています。
おっしゃる通り素晴らしい本です。
元よりC51という機関車が好きなのですが、本書中のお召し機より少し控えめな装飾のC51-171に惹かれて16番で当該機を作っています。
C51は我が国の後の機関車のベースであり、なおかつ発展改良に力が入れられていたほぼ最後の機関車でありながら、動態保存機はおろか静態保存が3輌に留まるのがつくづく惜しまれます。
2. Posted by Tavata   2018年01月30日 12:29
日本型の話題とは珍しいと思って画像を拡大したとたんに鳥肌が立ちました。

表紙からして凄い!
連結器解放用のエアシリンダが真ん中に立って、それがブレーキ管につながれている様子を描いた絵など見たことがありません。
エアシリンダがあるのに解放シーンでデッキに助士が居るのは機構の信頼性の問題でしょう。
制服も戦前スタイルで機関士の顔や腕の位置も正確に描かれて凄いです。
各列車の煙の違いから勾配とスピードがよく分かる他、D50の力行中に右脇から出ている給水加熱器からの排気も描かれています。
不思議なのはD50キャブに機関助士が座っていること。登り勾配では連続投炭中のはずなので3人乗務かもしれません。
待避貨物列車の編成も気になります。
当時の車止めは芝生なのでしょうか?
セイタカアワダチソウの渡来前の風景も綺麗です。
視認性から土手の中腹に設置された腕木信号と点検通路などレイアウトに取り入れたいディテールと構図で着目点を探し始めたらキリがないほど濃密で正確な絵ですね。

色々書きましたが、こんな本が存在したこと自体がとても嬉しいです。
正直、汽車の絵は子供だましばかりという印象で、子供の頃から不満でした。(自動車や飛行機の方がずっとマシ。)
大人から「子供は、この程度で大丈夫」と甘く見られているとしか思いませんでした。
今にしてみれば、大人自身が正確な知識を持ち得ていなかっただけかもしれません。 (続く)
3. Posted by Tavata   2018年01月30日 12:38
少々脱線しますが、私自身の小学低学年の頃、大人に対する不信感(大人の「ジョーシキ」からすると大変クダラナイ内容なのですが)を経験したことがあります。
図工で自画像と好きな風景を描いて、先生がその二つの絵を合体させて「絵の世界の中にいる自分」を作る企画がありました。
その際、先生がテンダーというものを理解しておらず、私の自画像は石炭に埋められてしまいました。
キャブに乗せかえてくれと言ったものの、糊貼りなので修正不可とされてしまい、キャブ窓から見える左上半身を頑張って描いたのに全く取り合って貰えなかったことに、とても腹を立てたことを覚えています。

子供は残酷に大人の様子を見ており、しかも、そのことをずっと鮮明に覚えているものですね。
大人になった今では、このことが一種の自戒になっています。

この本のように大人の本気を子供に見せることのインパクトは計り知れないでしょう。
dda40x氏のOゲージ博物館も子供に示すべき大人の本気の一つだと思います。

日本で鉄道趣味を「幼稚」と見る向きは、大人の本気の姿勢を子供に示さないことが一因ではないでしょうか。
東洋経済に、鉄道博物館の幼児を対象とした娯楽アミューズメント化を問題視する記事もありました。http://toyokeizai.net/articles/amp/191125?display=b

長文コメントと議論の発散、失礼しました。
4. Posted by ozu   2018年01月31日 08:38
先日お話を伺ってからすぐにネットで探して手に入れました。
定価よりだいぶ高かったですが、お話し通り素晴らしい内容でした。
写真より説得力があり見入ってしまいます。
こういう本がもっとあってほしいですね。
5. Posted by dda40x   2018年02月01日 21:48
皆さん、コメントありがとうございます。
黒岩さんの絵は、見るものに語り掛けてきます。好きだからこその観察眼は、他の追随を許さぬものです。
「大人の本気」という表現は良いですね。リンク先の記事も読ませて戴きました。そのコメントが面白く、感じるところがあります。
建設中の博物館も「本気度」を見せつけたいと考えていますので、その点参考になりました。
「本気」を見せてくれる本を探し続けています。


コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Recent TrackBacks
Categories
  • ライブドアブログ