2017年12月31日

続々 困った3条ウォームギヤ

 このウォームを発注した時の仕様書らしいもののコピィがある。判読が難しいところもあるので、読めるところだけ書くと、モヂュールは0.6らしい。

 歯先円直径は 7.8 mmとある。これはどうしたことだろう。この現物はもう少し
太い。ピッチ円を指定していないところが不可解だ。また、軸穴を3.0 mm径と指定している。これはまずい。2.5 mmにすべきだった。そうすればかなり細くなり、進み角は大きくなる。このあたりは経験不足から来ている。どうして先駆者に聞かなかったのだろう。小学校の算数と理科の範囲である。 
 材質はS45Cである。どうして快削鋼にしなかったのかは疑問だ。快削鋼であれば、表面の粗さが、より良いものができる。逆駆動には、このあたりの微妙なところも大切なのである。イモネジはM1.4らしい。

 ウォーム・ホィールは28枚歯で、歯先円直径は18.7 mmとある。これは正しい。歯数が互いに素であることは良い。これもイモネジ(M1.6)で締めるようになっている。このような留め方は避けたい。僅かの偏心が逆駆動の妨げになりうる。材質はリン青銅で、これは良い。

 組み込んで動かなかったものだから、その模型店には客から文句が来たようで、その返答のコピィを見せてもらった。それは私信に属するから、写しは取らなかったが、概要はこういうことであった。
 逆駆動するには動軸にボール・ベアリングを入れないとダメである。逆駆動はこの程度が限界であると認識されたい。なじんで来れば多少は良くなるかもしれない。”

 何を言っているのか、全く理解できない。滅茶苦茶である。かなりの金額を支払ったそうだが、全て灰燼に帰している。もったいないことであった。
 ウォーム軸にスラスト・ベアリングを入れれば、動軸側には無くても逆駆動できる。進み角の小ささと歯面の仕上げの悪さが、こういう事態を引き起こしている。快削鋼で作っていれば、きっと動いたであろう。進み角が小さいので、効率は良くないが、一応は動いたはずだ。モリブデン・グリースを使うことも必須だ。

 筆者の機関車は、同一の線路に2輌載せて、片方を押すと発電してもう一輌が走り出す。正しい設計とそうでないものとは、ここまで違うのだ。
 筆者の発表した記事には、全ての必要項目が書いてある。そのまま作れば、必ず動いたのだ。そして、そのグループでも標準仕様として採用されて、動力機構の改善が進んだはずだ。下手な知恵を出すからこういうことになる。残念な限りだ。もう既に時効だろうが、正しいものを作り直させることが必要だ。
「オリジナルを超えるコピーなし」ということが分からない人が多い。発明者は様々な条件を満たすものとしてそれを作ったのだ。それを思い付けなかった人が、工夫をしてもっと良いものを作り出せるわけがない。まずは完全なコピーを作るべきであった。

 返すがえすも残念なのは、そのグループには吉岡精一氏も居たのに、吉岡氏に相談しなかったことだ。吉岡氏は筆者の設計の歯車を多角的に解析し、実験結果を含めた「ウォームギヤ調書」という数十ページのレポートをグループ内で配布している。それは筆者がアメリカに居る頃で、日本では盛り上がっているのだろうなと想像していたが、結果はこれであった。誰もその内容を読んでいないのだ。非常に分かり易く書いてあるのにだ。吉岡氏曰く、”中学生にも分かるように書いた”とのことであったが。吉岡氏は筆者のギヤを活用されていた。 

 筆者の正しい3条ウォームは手持ちに余裕があるので、希望の方にはお譲りしている。

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コメント一覧

2. Posted by 呉生れ   2018年01月02日 14:50
あけましておめでとうございます。
逆駆動可能なウォームギアの件、いつも興味津々で読んでおります。
dda40Xさんの革命的な提言を国外を含めほとんどのメーカーが30年以上黙殺していることが不思議でなりません。
手持ちがおありとのことですが、大きさとしては1/80に使用可能なものでしょうか?工夫次第で適用可能でしたら是非試してみたいと思います。
4. Posted by WYOT1   2018年02月26日 19:50
お願いしたいのですが、dda40xさんの正しい3条ウォームギヤ、手持ちに余裕が在りましたら是非お分け頂きたいのです。稲見製作所の3条ウォームを組んでみましたが逆転しません。やはり進み角が小さく、滑らないのが原因の様です。稲見のギヤは、どう工夫しても徒労です。よろしくご検討ください。

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