2017年11月13日

続 第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

図3(8回連載の4回目)
 図
3に「天秤棒イコライザ」「フカヒレイコライザ」「ロンビックイコライザ」の3つの機構を概念図で示します。ここではトーション・バー(捩じり棒バネ)は模式的に弦巻バネで示しています。図上では▲が輪軸との支点、▽が車体と機構の接合点(ともに自由支持)として記述しています。「天秤棒イコライザ」にはリンク機構はなく、輪軸同士がトーション・バーでつながっていると考えられます。このトーション・バーが小林氏の言う「天秤棒」です。そして、この機構はトーション・バーの長さの二等分点にトーション・バーとロール方向に剛な支持点(トーション・バーの左右にある2つの)を設けて、この支持点でボディーのロールを拘束するものと考えられます。このトーション・バーが支持点前後で同じ捩じりバネ定数を持っていると仮定すれば、輪軸間のロール角度を二等分する点でボディーを支持しているので、等角逆捻り効果自体は持っていると考えられます。この効果は、ボルスタ下にコイルバネが入ったボギー車と同じ原理とみなせるでしょう。しかしながら、この構造は輪軸のロール角度とボディーのロール角の差分が「イコールになる」のは確かですが、軸重平準化の機構とは言い難いと思います。さらに、輪軸の捻じれが生じた状態では、トーション・バーの反作用のトルクを線路が受け持つため、左右の車輪の支持荷重(輪重)が異なってしまい、かえってイコールではなくなってしまいます。その様な意味で、イコライザと言うのは少々無理があるというのが率直な意見です。

しかしながら、見方を変えれば、前章の図2で示したように、実物も車輌のロールの捻じれで力学的な仕事が発生しているのです。その意味では実物の車体の弾性捻じれの近似と言う意味では、却ってこちらの方式の方が近いものかもしれません。

 さて、それでは、この力学的な特性を元にこんな名前を考えてみました。「ロール・トーション・バー等角逆捻り」です。この方式のメリットは何よりも単純な構造です。トーション・バーが捩じりだけを支持するように注意さえすれば、バネ長が長いので剛性の調整がルースでも作動します。また、トーション・バーにヨー方向の機能を持たせないために帯板を用いるのは簡単で良い方法だと思います。他にも、工夫次第でバネ特性を色々いじれるので、軸バネ独立懸架よりも簡単にバネ効果のある動きや走行音を工夫できると思います。ただし、ボディー全体のロール回転拘束をトーション・バーだけに頼っているので、ボディー重量が重いOスケールなどのラージスケールではボディーのふらつきを抑えるため、輪軸の捩じれを止めてしまうほど堅いトーション・バーにせざるを得ず、等角逆捻りの効果が得られないでしょう。


 なお、ダンピング性能については、軽い小スケール小型車輌模型の場合、ダンピングが強すぎるとバネが中性点まで戻ってこない懸念(工学的には内部応力が残留した状態)が考えられます。結局はボルスタと床板の摩擦程度でのダンピングが現実的かと思います。

 まとめますと、名称としての「天秤棒イコライザ」は力学的な整合性としては少々無理があると思われますので、ロール・トーション・バー等角逆捻り」という名称を提案します。また、用途としては、その簡単な工作性とバネ特性の調整のし易さが生かせるので、小スケール(HO 以下)の2軸車等で有用な方式だと思います。



コメント一覧

1. Posted by ゆうえん・こうじ   2017年11月13日 15:58
K氏がTMSに「天秤棒イコライザー」を書かれたとき、彼の頭の中には力学的な学術用語としての「イコライザー」ではなく、模型で両方の車輪を支える「いわゆるイコライザー」を考えて記事を書かれたのだと思います。
プロ同士の間では学術専門用語を使って話せば、共通の認識があるので話している内容の説明が省略できますが、その領域のプロ以外の人はその言葉の定義が不明確なので、うまく話ができないことはよくあることです。ただそれが昔は「教科書」といわれたTMSに掲載された記事だったので炎上したのだと思います。
T氏が提唱されるように正式かつ学術的な用語としては「ロール・トーション・バー等角逆捻り」でよいと思いますが、工学的素人が聞けばわけがわからなくなるので、俗称は「バネ式等角逆捻り機構」とかでよいのではないでしょうか。
TMSの記事も高度な用語認識をもって書かれている記事は少なくなったように感じます。最近のTMSに査読のある学術雑誌並のクオリティーはないと思います。あるいは昔から実際はそうだったのかもしれません。
2. Posted by T   2017年11月14日 08:51
ゆうえんさま
コメントと名称のご提案ありがとうございます。
私も「名前が長いこと」と「厳密さと簡潔さ、どちらを取るか」で悩みました。
仰るとおり、(俗称)「バネ式等角逆捻り」でも良いのですが、次の第3章で捻り方向が90度回った話をするので、そのためにわざと「ロール・トーション・バー」と区別しています。
それらも含めての「バネ式等角逆捻り」という広義な名称は、呼びやすくて良いと思います。

今回はレポート単体でクローズした議論としたかったので、定義を含めて、かなりクドい書き方になっていることをご了承お願いします。

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