2017年11月07日

等角逆捻り機構の考察 

 等角逆捻り機構に対する考察を、T氏に寄稿して戴いた。8回に亘って連載する。

           目次
第1章 等角逆捻り機構の考察 (2回に分けて連載)
第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察 (2回に分けて連載)
第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察
第4章 ロール軸の高さに関する考察 
第5章 輪軸の弾性支持に関する考察
第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案 



 dda40x氏へのコメントを機に、等角逆捻り機構に関する私見の発表の機会を与えて戴きました。僭越ながら、6テーマで記述します。なお、dda40x氏、コン氏、ワークスK氏、ゆうえんこうじ氏らの記事を拝見した上での考察ですので、重複等はお許しください。

第1章 等角逆捻り機構の考察 (基礎事項)

最初に等角逆捻り機構の考察に向けての基礎事項をまとめます。ほとんどの方には釈迦に説法でしょうから、図を見て「当たり前だ」と思われる方は、ここを読む必要はありません。

図1最初に、車体の回転および捩じれの座標軸を確認しておきます。図1の様に車体の前後方向(レールと平行)の回転軸をロール軸、左右方向(枕木と平行)をピッチ軸、鉛直方向(床板に垂直)をヨー軸と言います。等角逆捻り機構はロール軸に関する捩じりの議論であることは言うまでもないでしょう。

図2次に、実車と模型のロール運動に関する概念の違いを示します。図2は車輌が捩じれた線路上にある際に、実車と模型(等角逆捻り機構搭載)がどのような振る舞いをするかを模式的に描いています。下段左側の実車ではボディーのロール剛性が低い(柔かい)のでボディー全体が捩じれています。例えるなら、学校の物理実験室にあるウェーブマシンのすだれの個々の棒の上に、スライスしたフランスパンのような輪切りのボディー要素が載っているというイメージです。もちろん、実車は厳密には足回りにバネ装置他、線路の誤差をある程度緩和する装置を搭載してはいるのですが、それでも最終的にはボディーが捩じれを吸収するような設計になっているように思います。
 
 なお、余談ながら私のお気に入りのディズニーの実写映画
"The Great Locomotive Chase"(南北戦争で南軍列車を北軍がハイジャックした史実を元にした映画)の脱線シーンでは、築堤上で脱線した木造ボックスカーが捩じれながら崖下へ駆け下りていくのですが、最後は地面の捩じれに耐えられなくなって、屋根がカパッと外れて車体全体が崩れます。実車はそれほどロール方向の剛性が弱く、柔かいのです。

一方で、小型模型ではボディーのロール剛性が高い(堅い)ので、ボディーに捻じれを吸収させる機能は全く期待できません。それにも関わらず、小型模型には、実物よりも非常に大きな誤差(実物換算で数以上)がある線路の上を「脱線なく」、しかも「集電を伴って」、「実感的に」(カタカタせずスムースに)走らせることが求められます。この要求を満たすには、車体とは独立して足廻りを線路の誤差に追従させ、その足廻りと車体の変位差を吸収する積極的な機構(イコライザなど)が必要となるのです。
                       (この章続く)



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