2017年05月02日

日本の蒸気機関車のブレーキはリーディングである。

 先回の記事が出た直後に、表題に示す連絡を受けた。連絡してきたのは、工学のエキスパートのT氏である。(leadingと言うよりも、むしろself-actuatingと言うべきかもしれない。)
 T氏は、鉄道車輌よりももう少し大きなものの姿勢を制御する専門家である。
 

 そんな筈はないとも思ったが、彼の言うことが間違っていたことは、過去に一度もない。食事の時も上の空で、皿と箸でシミュレートした。彼の意見は正しいことが分かった。わざわざ、ブレーキを効かないようにするはずはない。

leading 結論は出たが、どうやって説明するかである。極端に簡略化した絵を描くとこうなる。それを平面上のモップにすると、下の絵になる。
 モップを塀の上に載せて、下から横に引っ張ると、モップは質量と重力加速度によって生じる摩擦力以上の摩擦力を生じる。喰い込む方向に力が掛かるのだ。エスカレータのベルトを拭くときにこういう装置を付けると、喰い込んで止まってしまうかもしれない。 

JNR C62 leading brake 実物の機関車の写真をじっくり見た。これはC62である 。確かに支点は接線より中心に近いところにあることが分かる。
 これで井上氏がよく効くとおっしゃった意味が、ようやく分かった。

 この件に関するコメントを沢山戴いているが、トレーリングであるという前提のご意見ばかりなので、掲載は控えている。ヨーロッパの機関車には、支点を接線上に持って行って前後進でブレーキ力の変動が起きないような設計にしたものがある。

 それにしても、T氏の眼力には恐れ入った。実はT氏からは、例の”天秤棒イコライザ”に関する解析も戴いているので、いずれそれも紹介したい。イコライザではないということである。

 追記: 添付のC62のブレーキの写真は、提供者のmon氏のご厚意で、圧縮前の、より鮮明な写真と差替えました。  

コメント一覧

1. Posted by コン   2017年05月03日 00:23
わあ、これは素晴らしい知見ですね。これで、タンクロコのブレーキシューが動輪の後方にあってリーディングなのに、テンダー機は動輪の前方にあるのか?が理解出来ました。タンクロコの支点は接線の外側にある事を図面で確認しました。タンクロコとテンダーロコではシューの傾きとアーム、そして支点の位置が違うのですね。ポイントはシューの傾きかも知れません。模型化の時にもここまで配慮すべきなんですね。
2. Posted by コン   2017年05月03日 22:41
追伸です。自分のブログで集電ブラシの問題を中途半端で打ち切ってしまいましたが、ブラシは接線方向に当てるべきという意味は、このブレーキにおけるリーディング/トレーリング理論から来ているという事が良くわかりました。コンの機関車でバックは調子よいけれど前進が調子悪いなどという原因も此処にあるのかも知れません。今回は大変勉強になりました。感謝します。
3. Posted by dda40x   2017年05月04日 07:01
私もT氏のおかげで思わぬ勉強をさせて戴き、有難いことでした。人の言うことを鵜吞みにしてはいけないという良い実例でした。
機関車の前後進の調子の違いは、おそらくウォームギヤによるモータ軸の軸方向のずれです。ギヤボックスを作り、スラストを何らかの方法で押さえ込み、モータは回転力だけを伝えるようにすればよいはずです。
小さいとは言えども、ギヤボックスを付けることを考えられたらどうでしょう。保油の点でも必要なことです。

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