2016年03月19日

続々 加工硬化

 伊藤 剛氏の話は続く。

 剛氏は応召して中国戦線で戦った。日本製のトラックの車軸がよく折れたのだそうだ。ここぞというところで折れるので、これじゃだめだということになった。
 破損放置されている敵方のトラックからシャフトを外して付け替えると、折れることがないことが分かった。それはフォードのものだったが、ちゃんと合う。当時の日本製はアメリカ製のコピーだったので、合うわけだ。何が違うかはよくわからなかったが、
「『これでは勝てない。』と兵隊レベルでもわかりましたよ。」
 
 当時のバネはよく折れたそうだ。機関銃のバネが折れると暴発する。航空機のエンジンのヴァルヴ・スプリングもよく折れて困ったという。
 
 戦後ショット・ピーニングという方法が紹介されて、なるほどと思ったそうだ。表面に加工硬化を起こさせて、亀裂発生を防ぐ技術だ。元はハンマで丹念に叩いてそれを行っていたのであろう。この技術が導入されて、その種の事故はかなり減った。金工用ハンマに先の丸い部分があるものを、 point peen hammer という。
 しかし、1960年頃の自動車技術はまだまだ未熟で、父の乗っていたトヨタの2代目コロナの前輪トーション・バァが折損したことを覚えている。(このリンク先のサスペンションの説明は間違いで、コイル・スプリングではない。)その車を買ったとき、父は
「この車のバネはトーション・バァだ。賢い設計だよ。普通のコイル・バネも広い意味ではトーション・バァだけども、その一部を拡大している。」
 嬉しそうに解説してくれたけども、一月も立たないうちに右側が折れて、悲惨な姿で帰って来た。トヨタの友人に電話を掛けて、文句を言っていたことを思い出す。
 のちに連絡があって、「ショットの掛け方に問題があった。」とのことであった。

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