2016年03月17日

続 加工硬化

 伊藤剛氏は、折に触れて加工硬化の話をされた。
 ドイツの電気機関車の歩み板(running board)の薄さを語った。

「普通の材料を使っているんだけど硬いのです。加工硬化させてあるんですな。」
 写真を見ると槌痕が見える。そのうちに機械でプレスして硬くするようになった。

「真鍮の針金が軟らかい時には一端を万力に挟んで、ハンドドリルに銜えて廻すんです。ハンドルを廻すと堅くなってくるのが分かります。糸鋸で切ると中は軟らかいのですが外は硬い。外だけ引っ張られるからですよ。」
 
「使ったレイルは硬いけど、新品は軟らかいんです。 それと、レイルの外側は硬いけど、中は軟らかい。」

「ポイントのフログは最近は鋳造になりましたね。あれは出荷時にはあまり硬くないけど、列車が通ると硬くなるんですね。」 

 筆者のFEFを見せたときのことを思い出す。屋根の上のシンダ除けをご覧になって、
「これは切り抜いたものとは違いますね。叩いたんでしょう?薄くできている。どこでこんな知識を得たのですか?」 
 祖父江氏の話をすると、「恐れ入りました。あの人は天才です。」と真顔でおっしゃった。

 別の機会に祖父江氏に針金を捩じる話をすると、
「そんなことしなくっても、簡単に出来らあ。万力に銜えて、ペンチで挟んで引っ張るんだよ。長さが1%も伸びれば出来上がりさ。 」

コメント一覧

1. Posted by ゆうえん・こうじ   2016年03月17日 09:51
今は模型店で直線加工した線材売っていますが、昔?は丸められた真鍮線を万力に銜えて、ペンチで挟んで引っ張って伸ばしていました。あと薄板から帯材ををシャーで切り出して捻れた場合もこの方法で捻れをとっています。
2. Posted by skt   2016年03月17日 21:43
加工硬化の記事、あまり反響がないのは現在普通に売られている線材は引き抜きのものが多いし、帯板も圧延がほとんどですから工作する方でもピンとこない方が多いのでは。

ロー付けやハンダでもバーナーを使う方はよくわかっているので、これまた反応がないのかもしれません。

線材や帯材は、端を万力に銜えペンチで勢いをつけてコンと引っ張ってまっすぐにすると同時に加工硬化させたものでしたが、いまはあまり関係ないのでしょう。

それにHOスケール程度では細いディテールにそれほどの強度を求めることもないでしょうから、意識がいかないのだろうと思います。

ところで、dda40xさんの記事を読むと毎回、Oスケール以上の模型とそれ以下の模型では質量と慣性への配慮がまったく違うのを感じます。

自分はLGBも楽しんでいますが、ポイントのノーズが繊維入りプラ製で成形されているのでその磨耗に悩まされます。ドイツ製の模型でかつ庭園鉄道向けの製品であるにもかかわらず、車両の軸受けなどもプラ製でかなり以上にいいかげんな構造に驚かされたりしますがそれほど問題になっているようにも聞きません。

コレクション的な側面が多いスケールでもあるので、あまり走らせなかったり、トラブルが起きたら修理に出すような方々が多いからかもしれません。

3. Posted by northerns484   2016年03月21日 20:10
針金をひっぱる話で、電子工作の達人だった会社の大先輩に教わったテクニックを思い出しました。単線のスズめっき線の被覆を剥いて使う必要のある場面があり、簡単に剥く方法を尋ねたところ、「簡単だよ。一方を万力に加えて、もう一方を思いっきり引っ張ってごらん。線が僅かに細くなってすっと抜けるようになる。この方法が良いのは、線がまっすぐになって、曲がりにくくなるから、配線の品位もあがることだね」という答えが返ってきました。

いつも美しい配線を心がけている方だったので、後半部分の説明をなるほどと思いながら聞きましたが、今となって思えば、現場の知恵として、自然と加工硬化を応用していたということだと思います。
4. Posted by dda40x   2016年03月24日 22:15
コメントありがとうございます。
O scale以上は慣性が大きく、また撓みも大きくなります。ぶつかった時の衝撃はかなり大きく、対処が必要です。摩耗も大きいので、設計時にはその対策を考える必要があります。
問題はそれを考えた模型がたくさん作られてきたのか、です。これは大いに問題です。
また、1番ゲージなら質量はさらに大きく、慣性でもっとよく走るはずなのですが、そうでもないのです。私の模型は、とにかく頑丈で、低摩擦というポリシィを貫いています。
ポイントの構造も、軟らかいプラスティックが使ってあるのはダメですね。
HO以下からOスケールに転向された方は、作品を拝見するとすぐわかります。連結器が車体に付けてあり、台枠とは無関係なのです。多分衝突を経験してないからでしょう。

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