2016年01月28日

続 フランジ

 実物の鉄道関係者にはフィレットなんて関係ないと言う人が多い。どうして図を見ないのだろう。実物のフィレットのRは小さい。レイルヘッドの丸みの1割増し程度である。テハチャピ・ループで見ると、車輪の形がレイルに転写されて、完全に一致している。レイルヘッドが多少狭くなっているのだ。塗油器でべとべとで、鉄粉を塗り固めたようになっている。
 それを見れば誰でもフランジで曲がると思う。

 一方、Low-Dでは丸みの比率が2倍はあるだろう。場合によっては数倍にもなるかもしれない。模型の線路は平型のゴム砥石でこする場合が多く、レイルの角は丸くなりにくい。その場合、比率は大きくなる。新品のレイルをスライスして顕微鏡で見たが、0.25から0.3 mmRほどである。
 半径比が大きいと上記リンクのP点まで行っても、当然一点接触である。現実にはそこまでは行かない。これは先回の写真でも明らかである。

 Low-Dの材質はSUS303である。摩擦係数が3/4ほどである。良く滑るから、まずP点まではいかない。試作の段階で0.4 mmで切り落としたものを作り、それでエンドレスを一周させた。全く問題なく走った。その車輪は吉岡氏のところに送ったのだが、戻ってきていない。それを見れば、「カーヴはフランジで曲がる」という実物屋さんも、納得戴けるのだろうが。
 実験がすべてだ。模型と実物は違うのである。

 フランジは推進運転の時の座屈防止には役立っている。あの高さがないと、とても持ちこたえることができない。先日、100輌の推進運転の実験をした。平面では何の問題も無いが、登り勾配の曲線を押し上げるのはむずかしい。微速後進で数メートル進んだのだが、2輌が同時に脱線した。

 来週は2輌の機関車で前牽き後押しをやってみる。DCCならではのゲームだ。半分くらいを押し上げるのなら、行けると思う。
 

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コメント一覧

1. Posted by ゆうえん・こうじ   2016年01月28日 11:32
TMS 1月号のフカヒレイコライザーの記事中にも「模型と実物は違う」という意味のことを書いたのですが、これについては共感いただけた方と理解してもらえなかった方に大きく分かれたようです。
また模型でも、0ゲージ、HOゲージ、Nゲージではかなり違ってくると思います。dda40xさんの0ゲージでの結果がHOゲージ、Nゲージにそのまま使えるかというと、また再検討・実験が必要だと思います。
人間というものは、自分の体験や書物やネットから獲た疑似体験の結果を基にして拡大解釈して判断することが多いので、間違いがおきるのでしょうね。その結果エラーが大きくてはっきりわかるときはまだいいのでしょうが、エラーが小さくて見過ごされたりするときが一番怖いし、そこに落とし穴があるのだと思います。
やはり実験は大事だと思います。

2. Posted by dda40x   2016年01月28日 21:25
 おっしゃる通りで、成功体験がある人はそれを拡大解釈する傾向があります。ある条件で成立していたことが、どんな場合でも通用すると信じてしまうのです。「俺は専門家だ」と言う方に、それが顕著である例が多いようです。
 私は実験結果を出したものしか信用しません。考えただけでそれが真実であるなら、この世には科学者というものが必要なくなります。
 次回はその実験結果です。これを見れば誰も文句は言えますまい。

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