2016年01月04日

摩擦を減らす

 例の動画を見た友人からの連絡が多い。 単純に褒めてくれる人と、何かあると疑っている人が半々だ。何もない。英語で言うと、"Nothing up my sleeve(袖の中には何もないよ)."だ。これは手品師の常套句である。

 ステンレス車輪で、フィレット半径を大きくしてある。フランジの円錐面は決してどこにも触らない。 単純な話なのだが、フランジでカーヴを曲がると信じていて、お分かり戴けない人がいる。筆者はLow-D車輪のフランジ円錐面から先をすべて無くして走らせたことがある。何の問題もなく、半径2800 mmの線路を周回させることができる。実験がすべてだ。これについて異論がある方は、ご自分で実験されて報告されたい。「いや、こうなるはずだ」というご意見は、正直なところ大変迷惑である。模型には模型の理屈があるのだ。実物業界の方はその理屈が模型にも同じように使えると信じている人が多い。特に遠心力が絡むものは、全く間違っているだが、それが分からない人が大半だ。物理法則は大きさが異なると無視できるものがあることを考えていない人だ。

 外国からの連絡は、ボールベアリングが使ってあるのだろう、というのが多い。ちゃんとピヴォット軸受だと書いてあるのに、である。 現物を持っていて、こちらの指示通りにモリブデン・グリスを付けている人は、「すごいね」の一言で終わりだ。「うちのは線路が良くないからこんないい音はしないよ。」というのもある。良い耳を持っている人だ。確かに、博物館の線路はナイロンタワシで磨いてある。走らせてもほとんど転動音がしない。それと大きなファクタは、エラストマの貼り付けである。接着剤をあまりたくさんつけないで、かろうじて留まっている程度にする。flex trackを留めるのは釘を用いるが、枕木を貫通する部分の穴は大き目にしておく。軽く留まっているようにするのが骨(コツ)である。こうするととても静かだ。コルク道床を信じている人はまだ多い。無いよりはマシという程度で、効果があるとはとても言えない。比較実験をされたい。実験をしたと言い張る人も居るようだが、その動画を見ると全く意味をなさない状態だ。実験で何を調べるのかということをまず最初に考えるべきである。

 機関車の回転部にはボールベアリングを入れる。高回転、重荷重のところには不可欠だ。スラストは専用のスラスト・ベアリングを入れるとギヤボックスの設計が楽になる。ラジアルベアリングでスラストを受けるときは、アウタ・レースが広がらないようにハウジングの剛性を高め、はめ合い誤差を小さくせねばならないから、素人には難しい。


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