2015年12月31日

仮開通

 線路を敷き始めてから3か月以上掛ったが、ようやく仮開通した。仮橋付近の工作に手間取り、予定より3日遅れであった。まだまだ保線が不完全であるが、全線にわたって通電しても、異常は認められなかった。

trial trip 仮開通には、友人が二人立ち会ってくれた。プルマン8輌の優等列車と、70輌の貨物列車である。機関車は土屋氏のコレクションを整備して用いた。祖父江氏の精魂込めた工作で、注油のみで素晴らしい走りを示した。左の写真は貨物列車が上部ループを周回する様である。矢印が機関車である。
 貨車は80%がブラス製である。25kg以上ある。連結器が伸びて発進し、勾配では機関車が微妙にスリップするが、難なく登り切る。スリップは前後の動輪の位相が少しずつ変化するからわかる。関節型機関車articulatedsはすべて2個モータである。排気音を出すとその変化がわかる。
 勾配に掛かるのは約55輌でその他は平坦線にある。ということは、まだ30輌ほどつなぐつもりだが、負荷はそれほど増えないから楽勝である。平坦線を走るときの電流と、勾配を登っているときの電流は2.5倍ほど違う。単機では50 mA以下で、メータがほとんど振れない。ボールベアリングの効果で、ほとんど無負荷なのである。実測で効率は50%近い。

 下り勾配では、適度のエンジンブレーキを効かせて降りる。電流を遮断しても貨車が押してくるが、3条ウォームの効果がそこにもある。筆者が採用した3条ウォームの効率は70%強である。すなわち、30%弱は損失になり、熱として放散されるが、その程度の効率が安全運転には必要なのである。もしこれがべヴェル・ギヤ、スパー・ギヤのみでの駆動であったりすると、抵抗が少なく暴走する可能性があるそれらの効率は90%以上だからだ。
 また、自動クラッチで開放すると大変な事故が起こるだろう

 3条ウォームはかなりの高効率と完璧な静粛性を持つ。蒸気機関車には最適である。筆者は、通常型蒸気機関車が歯車の音をさせて走るのは許せない

 伝統的に採用されている通常のウォームギヤの効率は15%内外である。しかもそれは良く潤滑されているときの話である。それを付けた機関車全体の効率は数%以下である。

コメント一覧

1. Posted by nextcube   2015年12月31日 20:01
> 自動クラッチで開放すると大変な事故が起こるだろう。

コアレスモーターに換装するにはオリジナルの25:1程度のギアでは減速し過ぎだと思いPCMのギアに目をつけていましたがカタログにはsemi-coastingと書いてあって躊躇していました。何がsemiなのか気になっていた訳ですが、最近になってネットで分解した写真を見つけクラッチ式だと知って購入を諦めました。ボールベアリングでない通常の機関車なら下りで暴走する事は無いのかも知れませんが、メーカーが販売する物としては残念な仕様ですね。
2. Posted by M.K   2015年12月31日 20:41
はじめてコメントさせていただきます。
まず開通おめでとうございます。素晴らしい模型ですね。
以前から鉄道模型に興味がありBlogを閲覧させて頂いておりました。
模型の構造的な機構から客観的な論証まで様々な視点からの模型の解説は大変興味深く、模型のすばらしさを感じます。
博物館が開館したら見学に伺いたいと思います。もう少し時間に余裕ができたら模型活動を始めたいと思っており、これからも参考にさせていただきます。
3. Posted by dda40x   2016年01月02日 07:55
ほとんどの方は勾配線を運転しないのでしょう。
或る非常に器用な方はHOの機関車をボールベアリング化した上で自動解放クラッチを付けていらっしゃいます。確かに多少の惰力は効きますが、牽かれる車輛がそれほど摩擦が少ないわけではないので、安全圏に入っています。
勾配のあるレイアウトに持って行ったときは危なかったとおっしゃいましたから、その通りなのでしょう。
この博物館の車輛群はすべて同様の滑走性能を持ちますから、解放クラッチが付いているととんでもないことになります。まさにyoutube動画のglideの状態になります。
4. Posted by dda40x   2016年01月02日 08:04
M.K様
コメントありがとうございます。土屋氏の依頼からここまで約2年弱で来ました。
世の中には姿形しか判断の基準を持たない人がたくさんいます。鉄道模型はメカニズムが命です。市販品はそこのところが全く欠けていて、「高価な静態模型の車輪がモータで廻る」という程度なのです。
アメリカには市販品を改造して、ばりばり走らせることができるようにする職人がいます。需要があるからこそです。このレイアウトでは、すべての車輛が実物と同じ編成で走ることができるのを見ることができます。ぜひともお越しください。
5. Posted by M.K   2016年01月02日 22:57
dda40x様 お返事ありがとうございます
私自身の話で恐縮ですがサイクリングを趣味にしています。自転車というものは1馬力に満たない人間の脚力で如何に長距離を早く走るかということを求めた機材です。そのためにはこのブログの副題にあるように、低摩擦、高効率というファクターが重要です(当たり前ですが)
ですのでこのブログにあるメカニズムの解説は大変興味深く読ませていただいております。これからも応援させていただきます。

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