2015年10月18日

牽引力

 最近、牽引力を測定する場面に遭遇した。車輪の回転により、スリップする瞬間の摩擦力を測定する。それで良さそうに見えるが、ここには大きな問題がある。牽引力は平坦線で問題になることは少ない。勾配での牽引力こそが問題になるのである。

 高校の物理で習った通り、動輪上の重量と摩擦係数との積が牽引力だ。しかし勾配では、機関車自身を持ち上げなければならないから、やたらに補重すると牽引力が損なわれる。 

 要はたくさんの貨車客車を牽きたいのだから、牽かれるものを整備するのが先決だ。台車をばらして軸受を洗い、良質の油脂を満たす。ジャーナル部はできる限り細かい研磨紙で磨き、ぴかっと光らせる。良く洗って砥粒を除き、再組立てすると、驚くほど良くなる。
 軸受から音がしているような状態で走らせる人がいるが、それでは無意味だ。

 機関車はスリップする程度に補重するのが望ましい。スリップしないとモータが焼けてしまう。動軸、先従輪の軸受には十分注油する。それだけでも性能は大きく変わる。
 日本で生活していると、注油と云う操作を忘れてしまう。アメリカ人は、日本人よりはるかに注油の重要性に気が付いている。いたるところに潤滑油の容器が置いてあって、それを注す。車庫の扉は大きく重い。それに注油するのをサボると、モータが焼ける可能性があるのだ。

 翻って日本の実情だが、駅に乗り着けて置いてある自転車のチエンを見ると、油が切れているものが大半だ。どうして油を注さないのだろう。すぐ磨り減るし、音がして気持ちが悪い。重くて疲れるだけである。これが日本の模型の状態を象徴しているように見えてならない。
 
 牽引力を調べるには、実際の勾配上で、ダイナモメータで測るのが良い。もちろんテレメータ(遠隔計測)にすべきだ。現在の日本には、これに必要なものは全て市販されている。HOサイズであっても収まるはずだ。
 

コメント一覧

1. Posted by YUNO   2015年10月18日 11:13
少し話は逸れますが、人の自転車を見るとタイヤの空気が減っていることも多いですね。
家電でも住居でも、ごく簡単なメンテナンスをまったくせずに寿命を縮めてしまう人が大多数なのは勿体ない話だと思います。
2. Posted by dda40x   2015年10月19日 21:54
おっしゃる通りで、今の日本で一番足りないのはメンテナンスする心です。車を買って、一度もエンジンオイルを替えたことがないと言う人がいました。それで4万キロも乗っているのです。排気管から煙が出始めていました。オイルゲージを抜くと茶色のペースト状のものがついていました。ピストンリングが減ってもう修復不可能でしょう。
住宅も樋に落ち葉が詰まっても取らない人が居るのです。玄関先だけはきれいなのですが。壁に棒状のものを立て掛けていると、そこから虫が入って大変なことになるのですが、お構いなしですね。
昔アメリカで世話になった人からは、メンテナンスの心を学びました。機械はいつか壊れる。壊れるまでの時間を延ばすのはメンテナンスしかないと。

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