2015年04月06日

木材の目止め

 先日、木材の下塗りに水性ニスを使う方法を書いた。何人かの方から、質問を戴いているのでお答えしたい。

 日本では木材の目止めは砥の粉を使うのが主流だ。砥の粉を水で溶いて、ほんの少量の糊(布海苔(ふのり))を加えて、目に直角に塗る。生乾きのうちに、ぼろきれで擦り込み、乾かす。乾いたら、木材の目に沿って払い、ニスを塗るというのが、昔中学校の技術家庭で習った手順だった。砥の粉を二回塗ると効果は素晴らしく、つるつるに仕上がった。

 そういうものだと思っていたのだが、アメリカの家具の塗装では砥の粉など無いから、どうするのだろうと興味があった。家具屋で見ていてびっくりなのは、ひたすら塗り重ねることである。
 塗っては研ぎ、を繰り返す。木材の篩管の細かい穴にニスが滲み込んで固まる。2,3回塗ると孔は完全に埋まる。さらに2回ほど塗るとつるつるになる。テーブルトップなどは10回ぐらい塗る。その間、水を付けながら、耐水ペーパで磨く。水を付けないと、摩擦熱で悲惨なことになる。

 油性のニスは塗膜が薄いので、下塗りに適するのは水性ニスである。筆者は床用の水性ウレタンニスを使う。刷毛にたっぷり含ませ、木材に時間を掛けて接触させる。塗ると言うより、置くような感じで十分に滲み込ませる。小さいものなら、塗料缶に投げ込んでおく。十分に滲み込んでから乾かす。すると、表面から1mmくらいはプラスティックのように固まる。木口は10mmほど滲み込んで固まる。

 これをサンドペイパで削り、また水性ニスを塗り重ねる。塗装の前にラッカ・サーフェサを塗って、スティール・ウルで磨く。客車の屋根などは、この手順で素晴らしい仕上がりが得られる。以前この方法で仕上げた貨車をある会合で見せたところ、出席者全員が、ブラス製だと思った。それほどの平滑面になる。
 全てのコツは木材の篩管を塞ぐことである。砥の粉ではきれいに仕上がっても、塗料が奥まで入っていないので、場合によっては塗膜がはがれる。浸透法ではその点は大丈夫である。

 今回の線路路盤の合板は合板の粗面が出ているので、普通のペンキ一回塗りでは実に悲惨な仕上がりである。水性ウレタンニスを1回塗って研ぐと、かなり良くなる。2回塗装・研ぎを繰り返してからペンキを塗ると、合板製とは思えないほどきれいに出来る。小型のベルトサンダを十分に使用した。

 塗ったニスが乾くと、表面がチクチクする。それは木材の目が立ち、固まったからである。それを削り落すとびっくりするほど滑らかになるのだ。


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