2014年07月14日

バックラッシを無くす方法

canceling backlash 質問があったので、予定を変更してbacklash(ガタ)を無くす方法について紹介する。
 
 歯車にはガタが付けてある。このガタが無いと動かない。ガタを無くす方法は昔からいくつか知られている。ウォームギヤは、理論上はガタが無くても動くことになっている。自動車のステアリングにウォームギヤを使うことが多いのは、そのためである。

 旋盤の刃物台のネジにはガタを無くす工夫がある。雄ネジに嵌まっているもう一つの雌ネジを設けて、その間隔を別のネジで調節する。締め過ぎると調子が悪い。油膜で浮いている程度に調整するのだ。

 歯車の場合は二重にして、それぞれの歯車にバネあるいはネジでトルクを掛ける。これも強く掛け過ぎると動かなくなる。歯車はネジと異なり、加工精度の問題で、ネジによる予圧は困難だ。負荷に負けない程度のバネ圧で押し付けるのが良いだろう。
 
 この絵は少々贅沢に歯車を使っている。同じ歯車がたくさんあったので、設計が楽な配置にした。ピニオンを大歯車に押し付ける構造にすると、歯車が2枚節約できる。

 バネはリン青銅線のちょうど良いのがあったので、それを使うことにした。効率を考えなくても良いところなので、かなり良い加減の工作でも良い。力が掛かるので、歯車軸にはボールベアリングを二つずつ入れる。

 組付けるときに、バネに負荷を掛けた状態で収めれば良い。難しい工作ではない。中学生の時に、父が描いてくれた絵が非常に印象的だったので、それをいつか応用したいと思っていた。

 トヨタのDOHCエンジンのカムシャフトにこのメカニズムが使われているそうで、その絵を見た時、少々驚いた。これと同じバネによる予圧が掛けてある。

コメント一覧

1. Posted by ゆうえん・こうじ   2014年07月14日 14:14
歯車メーカーのカタログを見ると、ノーバックラッシュギアというのがありますが、あれも同じような機構なのですか?教えてください。

2. Posted by dda40x   2014年07月14日 22:04
同じものです。市販品があるとは驚きました。
バネ式は分かるのですが、ネジでロックするタイプはよほど精度が高くないと、事故を起こすでしょう。ギヤはピッチ円半径が正確かどうかは怪しいことがあるので、バネで逃げる方式が無難だと思います。

3. Posted by YUNO   2014年07月15日 00:38
二枚重ねのギヤをバネで反対方向に押し付ける機構は、無線機の同調ダイヤルで見たことがあります。
大きなトルクが必要ないので採用できたのでしょう。
ネジ式はギヤが摩耗した時の再調整が面倒そうですね。
4. Posted by dda40x   2014年07月15日 05:43
そう言えば、その歯車を見たことがあります。薄い歯車でしたね。

5. Posted by にゃんこのおひげ   2014年07月15日 20:54
ノーバックラッシ・ギヤを以前仕事で作ったことがあります。普通の平ギヤとラックギヤの2種類やりました。
どちらも二枚のギヤを重ねて、スプリングでテンションをかける構造でした。
CDドライブのレンズを動かすメカに使われていましたが、いつのまにか長いウォームとクラッチ付きラックギヤの構造が主流になって最近は見なくなりましたね

6. Posted by とおりすがり   2014年07月15日 22:31
>ネジでロックするタイプはよほど精度が高くないと事故を起こすでしょう。

ネジでロックするタイプはノーと言うより、バックラッシ調整式歯車と言った方がイメージしやすいと思います。(また使い方も)
機構上使えば歯面が摩耗して必ずバックラッシが出ますから。

7. Posted by dda40x   2014年07月16日 06:50
通りすがり様
仰る通りです。実は歯車を二枚ずらしてハンダ付けし、それにきっちり噛むような位置にピニオンを付けて廻したことがあります。初めは良いのですが、すぐガタができました。当然のことですね。
8. Posted by dda40x   2014年07月16日 07:01
にゃんこのおひげ様
コメントありがとうございます。やはりウォームギヤになったのですか。一番安く、バックラッシを無くす方法ですからね。

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