2014年05月29日

レイルの電気抵抗

 鉄道模型のレイルは洋白材が多い。銅合金だが、ニッケルを含むので電気抵抗は大きい。

 ニッケル合金は、例外なく電気抵抗が大きい。ニクロム(ニッケルとクロムの合金)は高温に耐えるので、電熱線に用いる。マンガニン(ニッケル約4%マンガン12% 残り銅)は物理実験に用いられる抵抗線で、温度変化による抵抗値変化が極めて小さい。また、モネル(ニッケル約70%、残り銅 の合金)は耐食性が良く、海水淡水化装置などの材料である。

 最近各種のフレクシブル・トラックを使用しているが、ポイント作成には古いカツミ製のブラスのムク・レイルを使っている。50年ほど前の製品だが、かなりの量の中古を手に入れたので、尖端レイル、フログをそれから作る。ウェブ(レイル断面の中央の垂直部分)が厚いので、尖端レイルが作り易いからだ。
 ブラスの電気抵抗は小さい。カツミのレイルは太いからということもあって、電気が通り易い。昔のAtlas製品は、ブラスにニッケルめっきを掛けてあったので、電気抵抗がかなり小さかった。最近の製品は洋白製であるからあまり感心しない。

 そのことを鎮目泰昌氏と話していたら、「House of Duddy Flex Track は良いが、PECOは極端に電気抵抗が大きくて、話にならない。」とのご宣託であった。詳しく聞くと、彼のご自宅のレイアウト建設時に、各種のレイルをある程度の数をつないで、電気抵抗を測定したということであった。客観的なデータを記録してあると仰るので、それを送って戴いた。 その結果は驚くべきものであった。

 鎮目氏はレイアウトルームにレイアウトの台枠が完成した時点で、各種レイルの電気抵抗を測定しようと思い立った。しかし、一本では抵抗値が小さく、普通のサーキット・テスタでは測りきれなかった。
 そこで30本直列につないで先端を短絡し、すなわち60本のレイルを直列にして電気抵抗を測定したのだそうだ。もちろん、各レイルはレイルボンドで接続してある。その結果は次のような値になった。


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コメント一覧

1. Posted by たづ   2014年05月29日 22:22
5 同じ会社のものであれば、スケールの違いによるレール番数は変わるものの、材質自体は同じでしょうから、分かってよかったぁ・・・と思ったところです。
特にNではレールプロフィールは雑誌に紹介されることはあっても、電気抵抗についてはほぼノーコメントで、いったいどこの会社の製品が一番適しているのか、という情報は一切ありません。
幼児の頃祖父がオモチャの丸ノ内線(車体は実際には国鉄153系のそれでしたが)を孫の私と遊ぶためにカツミのプレス道床線路を直線だけ買ってきており、今も手元にあります。40年近く前はこの手の線路は真鍮レールが相場だったようで、「電気特性に優れる」となればなおさらなぜ消えてしまったのか残念です。
貴ブログ2010年記事にある、鉄レールを使う模型が、質感と小抵抗を両立しうる手段としてベターでしょう。
NはOの30%の大きさですから面積は9%で済むということもあり、無視する向きが多いのかもしれませんが、私としてはせっかく田舎に住んでいるのだからと分割式にしろ大サイズのプランを夢想しており、そうなると抵抗は無視しえなくなります。
実物の直流電化線がそうであるように、太い饋電線を並行して下に走らせ、細かく給電するしかないのでしょうか。
2. Posted by dda40x   2014年05月30日 06:16
饋電線は不可欠です。小さなレイアウトであっても、レイルの接続部の接触抵抗は極めて大きく、損失が発生します。レイル一本ごとの供給が望ましいのです。
そういう意味では、レイルボンドは、それほど意味がないようです。現在のアメリカのレイアウトは、一本ごとの接続が多くなりました。

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