2014年05月19日

銅ブロックのハンダ付け

 ちょうどタイミングよく、甥から問い合わせがあった。仕事のことなので詳しくは書けないが、世界最先端のある装置に付ける電力供給端子だそうだ。

「伯父さんはハンダ付けうまいですよね。ひとつ教えて欲しいんですけど、厚い銅の電極と、ある銅合金を隙間なくハンダ付けするにはどうしたらよいのですか。」

 聞くと、その二つの金属塊(一つが筆箱くらいの大きさだそうだ。)を磨いてクランプで締め、ヒーターでくるんでハンダを押し当てたということだ。いくらフラックスが塗ってあっても、それでは駄目だ。

 何回やっても真ん中にハンダが入っていない空間ができ、電気抵抗が 数ナノオームくらいあるそうだ。それを何とかしないと先に進めないと言うのだ。どうやら、その職場にはハンダ付けの名人がいないらしい。

 早速次のような方法を伝授した。

Soldering thick copper electrodes1 磨いた銅塊にキサゲで「めくれ」を付ける。
2 二つの塊りに塩化亜鉛の飽和溶液を塗り、クランプで軽く締める。
3 ヒータで温めて、ハンダの融点以上になったところでハンダを押し当てる。全体を立て掛けて、ハンダを当てれば良い。ハンダは横からでも下からでも全体に廻る。

 要はほんの僅かの隙間がないとハンダが入り込めない。おそらく0.03 mm程度の隙間がベストであろう。合金層を作って固着する。それより厚いと、合金ができていないハンダ層が残るから、弱いし、長い時間経つと多少変化するであろう。タガネでも良いし、ポンチでも良い。多少のめくれがあれば、その隙間を容易に保つことができる。

 理屈を話すと良く理解してくれて、早速作業をやり直すと言っていた。そのうち報告があるだろう。

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