2014年05月15日

ハンダゴテの手入れ

 昔、ハンダゴテはアカエというブランドのものを使っていた。剣先型の鏝であって、使っていると先の方のハンダが付いているところはよいが、その直後の部分が極端に錆びて細くなった。仕方がないのでそこで切り落し、全体を成形して使った。その時、虫眼鏡で見て驚いたことに、鏝には無数に細かい穴があった。

 父が言うには、「安物のコテは銅鋳物のコテ先だから巣(鬆)が入っている。それを叩き潰さねばならない。」ということで、「貸してみろ。」と取り上げられた。

 火鉢の炭で焼いて還元し、金槌で丁寧に叩いた。そしてまた加熱して叩いてを繰り返した。その処理をしたコテは長持ちした。
「プロ用のコテは銅の角材から作っているから、持ちが違う。」と父は言った。「しかも炭壺に突っ込んでいるから、いつも還元されているんだ。」

 その後塩化亜鉛をフラックスに使うようになると、またもや尖端のハンダが載っているところは良いが、その直後が錆びやすかった。キノコのような形だ。どうやら保管中に錆びるようだった。塩化亜鉛の溶液が付いているからだ。塩化亜鉛は潮解性であって、湿気を寄せ付けいつも湿っているから、錆びてくるのだ。
 しかし水洗すれば簡単に取れる。試しに洗ってみたところ、錆びはほとんど完全に防がれて、コテ先が細くなることもなくなった。

 ハンダゴテは抽斗にしまいたいのだが、熱いと待たねばならない。水道の流水で洗うとたちまち冷えて、すぐにしまえるのが具合良かった。水気があると良くないので、尖端を完全に冷やし、ヒーター部は多少温かい状態でしまうと、水気が完全に飛んでちょうど良かった。

 叩くと加工硬化して腐食しやすくなるという説が出てきたが、それは常温で電解液に浸した時のことで、ここでは関係ない。加工硬化の効果は、釘を海水程度の食塩水にひたひたに浸すと頭と先だけが錆びるという現象を説明できる。しかし高温で水のないハンダゴテには適用できない。しかもハンダゴテの使用温度ではすでに焼き鈍されている。
 一方、釘の頭と先はカッタで切り、ハンマーで打たれているから、加工硬化しているのだ。

 他にもいくつかの説があるようだが、長持ちさせる効き目としては巣を無くすこと、良く洗うことが大きく、他のファクターは無視できる。 

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