2014年02月16日

衝突

 もう30年以上前のことである。確か戦艦だったと思うが、模型を公園の池で走らせていた。Uターンさせて戻ってきたのだが、うっかり間違えてコンクリートの壁に正面衝突させてしまった。ゴンという鈍い音がしたが、船ははね返ってさしたる損傷はなかった。
 それを見ていた老人二人が、声を立てて笑った。
「やっぱりオモチャだな、はね返りおった。」 
それを聞いて、筆者は何が面白いのか分からなかった。

「はね返ってはいけないのですか。」
「そりゃだめだ。お前は船がぶつかるところを見たことがあるか。」
「いえ、ありませんが。」
「俺たちは海軍に居た。何回も船がぶつかるところを見たぞ。」
「えっ、それはすごいですね。どうなるんですか?」
「駆逐艦が岸壁にぶつかった。」
「岸壁が壊れましたか?」
「バカなことを言っちゃいかん。」
「船が壊れる。こうやってな、船がぶつかると……」
と身振り手振りで説明してくれた。

岸壁に当たったところがめり込むのだ。甲板はかなり原型をとどめたまま、ずぶずぶとめり込んでいくのだそうだ。なかなか止まらないものなのだと言う。
「船は柔らかいぞ。お前もなー、そういう柔らかい船を作って走らせてみよ。それでもって、岸壁にぶつかってぐちゃぐちゃに潰れたら、本物と同じだ!」
老人二人は、また大きな声で笑った。

 東横線元住吉で、電車の衝突事故があった。前頭部はぐちゃぐちゃだ。また、その他の車輌も床は盛り上がり、天井は落ち、長さが縮んでいる。
 やはり本物は柔らかい。その写真を見て、老人たちの会話を、ふと思い出した。


コメント一覧

1. Posted by Big Red car   2014年02月16日 08:01
東急東横線元住吉で電車の衝突事故は、とても壊れやすい作り方で大変驚いております。何枚かの写真を見ますと、先頭部よりも後ろ方の編成連結部のほうが、床がめくれあがり車体の部分が縮んでいるように見えます。
2. Posted by skt   2014年02月16日 11:00
ジュラシックパーク2などハリウッド映画では、恐竜を乗せた船が岸壁を乗り越えてそのままの姿で街中を滑走するシーンなんてのがけっこうみられますね。その割には、大宇宙船が墜落して先端からぐしゃぐしゃと歪んで壊れていくシーンなんてのもあったりして、演出というのはおもしろいと思います。
そういえばボンドシリーズなどでは、車はやたら丈夫だし、小型のプレジャーボートは空を飛んだり地面を走ったり、あれはやっぱり模型による特撮ならではのシーンなのか、あの程度の大きさでは剛性の関係から実際にそのようなシーンが見られるのか、興味があるところです。まあ、津波で漁船が建物の上にそのままの姿でのっかった映像もテレビで放映されてましたし、条件によるのかもしれませんね。
3. Posted by きんぎょ/中澤   2014年02月16日 20:23
http://photo.sankei.jp.msn.com/kod・・・/data/2014/02/15toyoko/ の先頭車同士の画像を見ると、先頭部はガラスが割れた程度で双方が喰い込んでいないように見えます。それに反して客席のある車端部同士の損傷はひどいものです。車両の構造設計ポリシーに問題ありではないかと感じます。
4. Posted by dda40x   2014年02月16日 20:27
 確かに、映画の表現は色々ありますね。船くらいの大きさになると、水に浮いているからということもありますが 、部分的な強度は小さいのでしょう。その昔、”ベン・ハー”を見た時、船同士の戦闘場面で、衝角を装備した戦艦が敵の船の横腹を突き破るのをを見ました。実際に可能なのか、それともその衝角が壊れてしまうのか、きわどいと思いました。衝角は丸太ですから、圧縮には強いのでしょうが、それを船体にどうやって留めているのかが問題だろうと思います。
 津波による大きな漁船が建物に載ったのは偶然でしょう。建物も壊れず船も無事に載るのは、運が良くないと起こらないことですね。
 神戸の震災で、グランドピアノが飛び上がって天井にめり込み、その後無事着地して全く壊れていなかった写真を見ました。着地の時に地面がたまたま降下したのでしょうね。信じられない偶然です。
5. Posted by dda40x   2014年02月16日 20:50
ご指摘の後の方の車輌の破損状況を見ました。
前頭部はある程度丈夫に作ってあるように見えますね。中間車がかなり破損しているというのは、おっしゃるように、設計思想に問題があります。
連結器の緩衝装置、その取り付け部の強度、背骨に当たる部分の強度のバランスが悪そうです。特に床が盛り上がっているのは許せませんね。筆者の模型では、その部分の強度を重要視しています。
6. Posted by ミッキ〜   2014年02月16日 21:36
 今回の東急元住吉駅の追突事故での車両の壊れ方が半端でないのには大変驚きました。直感的には衝突により連結器が破損して片方の車体が乗り上げて食い込んだように見えますが、低速での衝突事故にも拘らず、緩衝器が全く働いていないような壊れ方では、車体と連結器と緩衝器に脆弱性の問題が有りそうな気がします。

 同じような事故に1986年の西武田無駅での大雪での追突事故があります。この事故では追突した8連で6両が廃車となり、追突された8連も2両が廃車になっていますが、外観上は大きな損傷も無くなぜ廃車になったのか当時は不思議な感じもしました。それと雪とは関係ないですが、1988年のJR中央線の東中野駅での追突事故でも、10連2本のうち両端のクハ2両を除いて18両が廃車になっています。いずれにしても最近の車両は脆弱になったなと思わせるような事故です。

 かっての近鉄の旧ビスタの河内国分駅での追突事故のように運転室部分の改造のみで戦線復帰しているのとは隔世の感がします。

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