2014年01月26日

フィレット

jpg 曲線上で2軸台車をつけた観察用の車輌を転がすと、台車は曲線の接線より外を向こうとする。すなわち、第1軸の外側フランジがレイルヘッドに当たろうとする。
 第2軸は内側に入ろうとするが、半径2800 mmの上で観察すると、ちょうど中央付近である。1800 mmではやや内側に寄るように見える。

 さてこの時、第1軸の実際にレイルヘッドに触れている部分(フィレットの裾に乗り上がった部分)の半径を計算すると、行路差を十二分にキャンセルするほどの半径比になる。第2軸では踏面勾配が小さいので左右に寄ってもあまり影響を与えず、行路差がほとんどそのまま出る。すなわち、Low-D車輪を装備すれば、2軸台車では行路差に基づく損失の半分近くは、取り戻せる可能性がある。
 上記の計算では、19mm車輪より17.5mm車輪の方が、フランジの裾を踏んだ時の行路差キャンセルの効き目が大きいことになるだろう。何度も書くが、この時、フランジの円錐台面はレイルヘッドと接触していないすなわち見掛け上、フランジは輪軸の転向に寄与していない。大きいフィレットがフランジの代わりとして機能し、車輪半径を大きくして摩擦を減らすように働いている。また、フィレットの肩が輪軸を転向させている。
 車軸は曲線の接線に垂直ではないので、多少は回転方向に対し斜めに滑りながら動くことになる。その時もステンレスの摩擦係数が小さいことが有利に働く。

 このあたりの接触状況は、3D設計の専門家にシミュレイションをお願いして、色々な角度から覗いて見た。当然のことながら、フィレットを大きくすると、線路半径を小さくしてもフランジに当たりにくくなることが分った。
 市販の模型の車輪の精度は低い。マイクロメータで測ってみると、直径が  3/100 mm 程度のばらつきならば極めて優秀で、ひどいものは 0.5 mmも違うのがある。車輪踏面にはテーパが付いているので、転がせば多少片方に寄って走ることになる。そうすると、 場合によっては、2軸台車の車軸が進行方向に垂直にならずに、斜めになって走ることもある。こうなると、当然、摩擦損失が生まれ、抵抗が増す。Low-Dは1/100 mm以下のばらつきである。
 精度の高い車輪は、装着するだけで抵抗が小さくなるのである。

 筆者はLow-D採用時に、あまりにも摩擦が減少したので驚いたことを、覚えている。それは、ステンレス製RP25車輪をつけた列車が、当鉄道のエンドレスを一周繋いで(95輌)走るのは限界ギリギリであったのに、Low-Dにすべて取り換えたら、途端にらくらく牽けて、電流が70%になったことである。潤滑条件は同一であった。模型を実際に作って測定している人が得たデータは尊重すべきであろう。
 反論するには、独立した実験をしてその結果を示すのが自然科学の常識である。

 このような問題を解決するには、多次元の解析をしなければならない。この条件で、どのファクタが一番大きく効いているかを、調べるのだ。今回の条件での実験観察でわかったことは、摩擦係数が小さいことが一番効き目があったということである。 これでは実物とは全く異なる理屈によると言わざるを得ないであろう。 

コメント一覧

1. Posted by 森井 義博   2014年01月26日 02:27
日本の鉄道模型の部品を作っているところの多くがステンレスの加工を嫌がるようです。
私が輪軸の特注を依頼したところは、当初は車軸はステンレスだったのですが、そのうち加工できないからということで鋼材に変わりました。
無論、タイヤは真鍮か洋白です。
踏面形状を細かく指定しても、思い通りにはなりません。
別の鉄道模型の加工屋さんに部品製作を依頼した時もSUS303を指定したら、できないとのことで洋白になりました。
一般の加工屋さんは、ステンレスは当然のように作ってくれます(洋白は嫌がられました)ので、機械加工だけで車輪を作れるのなら一般の加工屋さんに発注するのですが、スポーク車輪なので、そうもいかないのです。
困ったものです。
2. Posted by dda40x   2014年01月26日 20:39
 模型の加工屋はロクロ屋からスタートしたところが大半でしょうから、ステンレスは無理でしょうね。いまだにCNC機を持っていないところもあるようです。
 輪心を鋳物にしてタイヤだけ嵌めるのは難しいのでしょうか。心を出したければ、タイヤを掴んで軸穴を開ければ大丈夫です。韓国製はその逆をやっているので全く心が出ていませんね。
3. Posted by Indian   2014年01月27日 16:26
牽引される側の車輪として、Low-D車輪の特徴及びその理論的根拠についての解説、興味深く拝読させていただきました。逆に、牽引する側の車輪に求められるべき内容のほうが難しくはないですか?牽引力確保の為、ある程度の摩擦は必要でしょうが、摩擦が増えれば脱線に対する抗力は落ちる気がします。両者をうまくバランスさせる様な形状はあるのでしょうか?

模型の加工業者がステンレスの加工を嫌がる、というのは驚きました。普通は銅系材料のほうが加工は嫌がられると思っていました。
4. Posted by UPfef3   2014年01月27日 16:50
摩擦係数が大きく影響するので材質が重要になるわけなのですね。
車輪の径に関しては確かにノギスで判別できるほどの誤差があり、意外でした。
5. Posted by dda40x   2014年01月27日 19:49
 機関車の動輪はRP25で何の問題もなく使えます。先従輪はLow-Dにして、強く復元を掛けています。
 脱線は皆無です。先従輪にはスラックが少ない方が良いのです。

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