2014年01月20日

走行抵抗

 曲線での内外の車輪の行路差は、無視できない。その差の分だけ車輪が滑る。軸重の約半分が掛かった状態の滑りである。その損失を少なくしようと思えば、摩擦係数の少ない材料を使うことである。
 筆者がステンレスに拘るのはそれがあるからである。高級な機械で旋削した車輪の摩擦は小さい。ごく普通のブラスにニッケルめっきの車輪に比べると 3/4 から 2/3 ほどである。めっきしたものは表面が粗くて音がするし、摩擦が大きい。
 それを考慮すれば、機関車にステンレスのタイヤを嵌めるのは、かなりまずい選択である。

 Oゲージでは、半径1800 mm (72 inch)の曲線では、走行距離に対する行路差は1.78%もある。半径3000 mmでも1.06%もある。HOでは半径を910 mm、1500 mmと読み替えて下されば良い。しかし、筆者の測定では、走行抵抗の比は、1.78 / 1.06 =1.68 でという比率ではない。フランジが当たっているからだ。
 
 RP25という、規格でも何でもない妙なRecommended Practice(推奨手法とでも訳しておこう)がある。このRPが無茶苦茶なことを勧めているので、というより何も大事なことを決めていないので、模型製造会社はそれぞれ勝手な判断で、珍妙な車輪を作る。

 NMRAのRP25というページに載っている車輪コンタ contour (形状)はかなり怪しい。どの番手の数字を使って描いているのかよく分からない。どう考えても図面が描けない番手の数字がある。明らかにD'の数字がおかしい番手があるのだ。#175、#148、#54が問題だ。

RP25 これについて、「どうやったら描けるのか?」とNMRAに問い合わせたら、でたらめな絵を送ってきた。フランジの中間部を直立させた絵である。左図中、赤字のVertical Segmentという部分である。いくらなんでも、これはないだろう。どうかしている。
 NMRAの車輪線路部会のレヴェルはそんなものであるらしい。まともなことを考えられる人材はいないようだ。NMRAとは35年付き合って、多少の寄付もしてきたが、縁を切ることにした。

コメント一覧

1. Posted by northerns484   2014年01月20日 23:59
RP25の記述のうちのどれかの寸法で断面を作図しようとしたことがあります。その時の図面が出てこないのでうろ覚えですが、R1の終端が直線部およびR2になめらかにつながるのだとすると、指定された寸法と矛盾が生じ、何らかの修正を施す必要があると判断しました。「Vertical Segment」というのは考えませんでしたけれど。結局私は「この情報では、一意に定まる作図はできない」と結論付けました。

好意的に解釈すると、細かく指定しても、当時の工作精度ではそれを実現するのが難しかったのだろう、と考えることにしましたが、そもそも幾何学的に厳密に決めることができるものを、なんでこのようにしたのかなぁ、と思ったのを記憶しています。
2. Posted by dda40x   2014年01月21日 10:04
HO で用いる番手については、そこそこの絵が描けます。その他の番手については検証がしてないのです。
すなわちNMRAはHOの団体なのです。

 私はOゲージの仲間にそれを長年言われてきました。まさかとは思いましたが、それは本当のことでした。アメリカのOゲージの仲間にはNMRA会員はいません。今回の話をすると、皆一様に、「HOの団体に入るのが間違っている。」と言います。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ