2014年01月18日

ピヴォット軸受

 筆者の車輌での測定値を下に示す。

 17.5mm(33 inch)車輪を付けたデルリン台車装備の4軸貨車(質量358 g)の、勾配での起動角θのtangentは0.0030である。
 また、動いている貨車が止まらない最小角は0.0023である。1 m行って2.3 mm だから、これはほとんど目に見えない角度である。すなわち、水準器代わりになるほどである。
 筆者の貨車は、迂闊には机の上には置けない。あっという間に滑り落ちてしまう。この値はピヴォット軸の場合である。HOなら、単純に考えると輪軸のテコ比で2倍となるから、0.006ほどを期待できることになる。

 先回のコメントのデータは、かなり大きな値である。どのような潤滑方法を取っているかは分からないが、ピヴォット軸受のような接触圧が大きい物には、極圧型の潤滑剤が不可欠である。液体だけの潤滑油では、油膜が切れるので、意味がない。最近はモリブデン粒子入りのグリスがとても安くなったので、それをホンのちょっと入れるだけで、摩擦が激減するはずだ。この「ホンのちょっと」というのは、尖端に0.3 mm径ぐらい付いていればよいのであって、多すぎると攪拌抵抗が増える。ボールベアリング付きのデータもあるが、大き過ぎる。これでは意味がない。

 19 mm(36 inch)の車輪が付いた6軸プルマン客車は、tangentが0.0041である。何が違うかというと、集電ブラシが付いているからである。集電ブラシは、軸の細いところに接触していて、注油してある。
 軸受はデルリンでなくダイキャストのままである。それも大きなファクタかもしれない。動摩擦では0.0033である。

 牽引力7 N(約700 gf)の機関車(動輪上重量が約3 kg)で、平坦な直線上なら、200 kg以上の貨車を牽ける計算だ。すなわち500輌以上の貨物列車だ。
 3%勾配であるなら、20 kg すなわち50輌ほど引っ張り上げることが出来る。ただし、これは直線上の話であって、曲線上ではフランジがこすれたり、左右の車輪の行路差があるので、この半分ほどになることが多い。

dda40x at 01:18コメント(8)測定 | 工学 この記事をクリップ!

コメント一覧

1. Posted by 森井 義博   2014年01月18日 14:57
http://www.morii.jp/railmodel/data/reg35-2.gif
は客車6輛を牽引したときの動的な負荷ですが、値が小さくなっているところが直線区間と思われます。(古いので詳細を忘れていました)
これから推定しても、1輛あたり、2gf程度のようです。
確か、特に潤滑剤は入れていなかったと思います。
これより前に軸受けの違いや、潤滑剤の有無で負荷抵抗の違いを測定したのですが、データが残っていません。
でも、1gfを切ることはなかったように思います。
2. Posted by 森井 義博   2014年01月18日 23:31
機関車の牽引力ですが、私の測定では、
http://www.morii.jp/railmodel/power.html
の通りです。
「牽引力7 N(約700 g重)の機関車(動輪上重量が約3 kg)」
と比べると、重量あたりの牽引力が低いですね。

私の測定が客車/貨車の負荷が大きく、牽引力が低いのは、1/80や1/87のサイズが非常に小さいために様々な点で効率が低くなっているのでしょうかね。
この違いの要因が分かれば、もっと改善できると思うのですが。。。
3. Posted by dda40x   2014年01月18日 23:59
動輪上重量と全重量の違いもあるでしょう。
おそらく、摩擦係数は0.23あたりです。
負荷を掛けて起動し、緩やかにスリップするときの値です。

いずれにせよ、客貨車の摩擦が減れば、実用上は何ら問題なく長編成が牽けるはずです。
4. Posted by fef3   2014年01月22日 17:51
父親のレイアウトに2.5%勾配のループがあって、そこの上で離してどこまで進むかを一つの基準にしているのですが、同じ重量、同じ輪軸と台車、同じ潤滑にしても、坂の途中で止まってしまうものから、坂を降りきってさらに5m以上進むものまであり、大きな差が出ます。
おそらく輪軸や台車の精度が悪く、そのため当たり外れが大きいのだと。HOでアメリカ型に使える高精度な輪軸を探し、いろいろ使ってみましたが、これといったものにまだ出会えていません。
5. Posted by dda40x   2014年01月23日 07:10
 2.5%で止まる様なものは直ちに廃車にすべきでしょう。
 潤滑剤を換えてみて、駄目なものは排除すべきでしょうね。
 私が自分で車輪を作ったのは、市販品にまともなものが無かったからです。左右の車輪径を測ってみると愕然とするはずです。
6. Posted by harashima   2014年01月24日 20:30
基本的なことでしょうが、質問させてください。
(1)
(牽引力)÷(貨車重量×tangent)
が牽ける両数、で良いでしょうか。
(角度が小さいのでtangent=sinとみなす)
(2)
起動角はわかるのですが、貨車が止まらない最小角はどのように測っていますか。
(3)
>静止時から動き出す勾配と、動いている車輌が止まらない勾配を測定しなければならない。
これはつまり勾配途中から引き出す場合と、勾配に突っ込んで上りきる場合のことでしょうか。

7. Posted by dda40x   2014年01月24日 21:16
(1) その通りです。本当は斜面なのでサインですが、余計質問が出そうでタンジェントにしました。専門家はサインを使いますね。実験は床のタイルの数で測定するので、タンジェントの値が出ます。
(2)ごく普通に、動き始めたら、線路を下げれば止まりますから、どの程度下げるかシムをはさんでおくだけです。やってみれば簡単です。
(3)単純に静止摩擦と動摩擦のことです。他意はありません。比率が知りたかっただけです。また、留置線での転動による事故を防ぐためのデータでもあります。

8. Posted by harashima   2014年01月25日 20:11
(2)は、やっとわかりました。
停止する寸前の角度だから、起動角の測定と逆の操作ですね。
単純な話でした。
回答ありがとうございます。

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