2013年02月18日

等角逆捻り機構 総括

 長くなったので、このあたりで総括する。やや表現が硬いが、ご容赦願いたい。

ロンビックは等角逆捻(ひね)り機構の一つに過ぎない
 1996年に出羽文行氏により発表された時点においては、その理論的解明がなされていなかったので、これが唯一の解であると信じられていた。
 2009年に伊藤 剛氏により、交差フカひれ型イコライザが、等角逆捻り機構の他の解であることが示され、他にも解があることが示唆された。その一案として、歯車による方法も示されたが、バックラッシの大きさが、無視できないので、それは採用できなかった。
 他の方法はリンク機構によるもので、ガタを極力少なくすることで目的を達することが出来た。交差フカひれ型はそのリンク機構の一つの例である。

等角逆捻り機構は制御された2点支持である
 2軸台車を見れば分かるように、台車ボルスタは自由回転し、安定しない。それを台車の捻りに因っても動かない車軸中点に掛かる支えで固定すれば、転ばない。電車などはその2軸台車を2組持ち、互いに相手に乗り掛かっているので転ばない。

模型の車体は剛性が大きいので捩(ねじ)れない。すなわち等角逆捻(ひね)り機構が無いと、大きな捻りを逃がすことができない
セミトレーラのサスペンション この図に示すように、セミトレーラのトラクタ部分を外すとトレーラは傾く。これが傾かないようにするには同じ高さの台車が必要である。 しかしそれでは二つの台車は捩(ねじ)れないから不整地に置いた場合には、各車輪に掛かる重さが異なるはずだ。
 ところが現実にはトレーラは容易に捩られ、安定化する。一方模型は捩られにくいので、何らかの機構で捩りを逃がし、しかも車体は台車の捩られた量の半分まで回転することが望ましい。
 実物の車輌は捩れやすい。先日近所で電車の脱線事故があった。砂利に乗り上げた車体は見事に捩れ、ドアが開かなかった。

イコライザは仕事をしてはならない
 台車の捻りによって車体が所定の角度捻られても、その結果車体の重心が上下することがあってはならない。また、イコライザ自身が上下することによって仕事をすることがあってはならない。
 ある程度の質量を持つイコライザの上下による仕事をキャンセルするためには、カウンタ・バランスあるいはバネによる補償機構が必要である。(ここで述べる「仕事」とは、物理的な仕事のことである。)
 

コメント一覧

1. Posted by 稲葉 清高   2013年02月18日 10:20
何点か、過去の雑誌記事から拾ったものを書いておきます。

1. 雑誌記事としての初出
これは出羽さんではなく、RMM への前田さんだったと思います。(後で触れる伊藤剛さんの 1997 年の記事でも、前田さんの発表に言及されています。)
ただ、出羽さんがボールドウィンのタンク機関車を発表されたときに、「2 軸のみに使えるイコライザがあるのだが...」と書かれた記事がありますから、具体的に書かれていないというレベルで良ければこちらの方が古くなりますが...

2. 伊藤剛さんによる歯車連動の記事
これは 1997 年 3 月号の TMS (pp. 106-107) が初出だと思われます。フカヒレ型より、アイデアは 10 年以上古いのでした。
この中で、長さ方向のスイングバーを使う普通の rhomboidal の他に、L 字クランクで前後の移動に変える方法、そしてタイトルにしている歯車によるデフギヤのような方式、それをクランクにした方法の四種類が上がっています。

3. 伊藤剛さんによる「バタフライ台車」の紹介
2002 年 7 月号の TMS (pp.98-99) に NS-52 型台車の紹介からはじまって、一番最後にフカヒレの原型とでも思えるものが紹介されています。ただ、その部分は図がないのでインパクトは少なかったかも...

以上、ご参考までに。
# うーむ、大体作ったなあ ;-)
2. Posted by Tavata   2013年02月19日 16:59
5 私もコンさんにJAMでフカひれなどを見せていただいて感動しました.
私自身, 機械系の学生であり, 機構学の話は大好きですので, レポートを非常に楽しませていただいてます.

1:1の現実世界で1:n(n>10)ほどの模型が「あたかも実物」のように走るためには, 模型ならではの機構が必要であるという
「当たり前」の再認識自体が目からウロコです.

このロンビックイコライザを含めて,
よく走る鉄道模型のメカを総括した本などが専門書として出てくれたら面白いのになあと思ってしまいます.
3. Posted by dda40x   2013年02月22日 11:09
コメントありがとうございます。
剛氏の工夫されたものは、初期の段階から全て見せてもらっています。
歯車式が気に入ったのですが、バックラッシが大きかったのです。細かいギヤを使う方法も考えましたが、フカひれリンクの方が楽です。ロッドでの押す引くはあまり長いと途中で垂れて面白くありません。引く方だけなら細く出来るのですがね。

確かに鉄道模型工学の本が出ると面白いですね。でも買う人は少ないと思います。工作技法の本はあるのですが、中学生の工作の延長ですし。
ほとんどの人は姿形にしか興味がないでしょうし、工作機械を持とうという人はさらに少ないでしょうから。

2月6日の項にGIFを追加しました。御覧下さい。

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