2012年10月05日

続 DRO

vertical-mill 筆者がDROを採用した最も大きな理由は、インチ目盛の機械を購入したからである。今使っている旋盤はアメリカに居た時に買ったので、必然的にインチ目盛であった。Bill Melisという鉄砲鍛冶の大家について習ったので、インチ目盛のテクニックは身に付いた。しかし、ミリで加工したいときもある。

 一所懸命に電卓で計算しても、間違って泣きを見ることもあった。ダイヤルゲージのミリ単位のものを買って刃物台に付けたけれども、決して楽しい作業ではなかった。そうこうしているうちに、DROが安くなる気配があり、試しに買ってみると、なかなか具合が良い。3軸のディスプレイの価格もそれほど高くなくなった。
 思い切ってフライスに付けてみると、今までのあの苦労は一体何だったのかと思うほど効率が上がった。と同時に、頭の中はガクンと音がするほど劣化した。もうインチの分数計算は頼まれても出来ないような気がする。

 コレットや刃物が全てインチサイズなので、事前の計算には多少の注意は必要だ。しかし、先回お見せしたような起点を決めた数値による切削は容易で、一回も間違えたことはない。たとえミリ単位のダイヤルのついた機械を使っていたとしても、DROを使うほど容易な切削は考えられない。

 軸距離が大切なギヤボックスも一発で穴開けが完了し、ギヤの噛み合いは極めて正確だ。このような時は二枚刃のエンドミルを用いる。四枚刃のエンドミルではドリル代わりに切り込めないからだ。

 フライスは、使いこなせれば極めて安い工具であると思う。最近は糸鋸代わりに細いエンドミルで切り離しをすることもある。ワークを見ることもなく、DROの数字だけを見ている。

 起点を決めるのはいつもこの工具である。安くて正確なのでお勧めしたい。最初に打ったポンチ穴をゼロゼロ点にする。この画面の下の方のChris' Tipsに動画があるので、ご覧戴きたい。

 今筆者が興味を持っているのはこのウェブサイトである。RS232を持つ使わないコンピュータをDROにする工夫である。コンピュータと連動させるので、かなり複雑なことができる。上の図はここからお借りしている。

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コメント一覧

1. Posted by popoakao   2012年10月06日 01:07
5 popoakaoです。DROの感度の件でいろいろご心配をおかけしました。改めてチェックしてみると、Z軸の微動ダイヤルのウォームとラックピニオンの二重のバックラッシュが原因と思われます。X、Y軸では問題ないので、DROが悪いわけではなさそうです。
ところで今日の記事に出てくる「起点を決める」工具ですが、ポンチ穴を原点にしたい時はリンク先の写真左端の黒い「feeler」を使うのでしょうか、またポンチ穴の大きさはどの程度が適当なのか?Chris' Tipsにはこの用例がないので、現にお使いの方にお尋ねしたいのです。よろしくおねがいします。
2. Posted by dda40x   2012年10月06日 14:48
感度の件、原因が分かりそうですね。多分取り付けにガタがあります。ギヤのバックラッシュは関係なさそうです。取付け時に接着剤を併用するのが効果的です。
さて、起点決めですが、おっしゃる通りで左の黒いFeelerを使います。バネで少し曲がっていますのでそれの先端を穴にはめて廻します。曲がっているのが真っ直ぐになると、長さが増すので、Z軸を僅かに持ち上げ気味で廻すのがコツです。 心が合うとちょうど良くなります。
ポンチ穴の深さは、特に考えたこともありませんが、0.4mm程度でしょう。
心が出ればその位置がゼロゼロ点ですから、あとは計算通りです。
3. Posted by harashima   2012年10月09日 23:33
私が昔フライスにさわったときは、あまり寸法を気にしない工作ばかりだったと思います。
最近小型フライスを導入しましたが、目盛りを見つめながらくるくる回すのがすぐに嫌になりました。
>起点を決めるのはいつもこの工具である。
これとDROは必須ということですね。
4. Posted by dda40x   2012年10月10日 06:33
DROは正確です。目盛付きダイヤルは回転してネジを動かしテーブルが動くわけで、その間に色々な誤差が入り得るのです。目盛で合わせて、テーブルを固定ネジで締めると、その瞬間DROが0.03mm位動くことがあります。
最近はテーブル締めネジを少しだけ緩めて、DROで位置決めし、それから本締めするようにします。ホビィ用の工具はそのように使った方が誤差が少ないと思います。

起点決め工具は意外と背が高いので、小さなフライスには使いにくいそうです。いわゆるX1では低い万力でないと収まらないという話を聞きました。それとMTコレットを用いてスピンドルが突き出さないようにするべきだそうです。

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