2012年02月25日

続 不思議な工作記事 

台枠の切欠き フライスで台車枠を切り出す記事があった。エンドミルで四角に切り取っておしまいである。
 ほとんどの人には気が付きにくいことだが(もちろんこの著者も気が付いていない)、台車枠の切り込みは四角ではない。必ず丸くえぐってある部分がある。これは、応力の集中を避けてクラックを生じさせない工夫である。

応力の集中「応力の集中」とは、次のようなことである。 例えば紙テープを引っ張って切れる時の力を測定する。そのテープの二倍幅の物を用意し、半分までハサミで切れ目を入れる。先ほどの力を掛けると簡単に切れる。おそらく二割程度の力で切れるであろう。角があるとまずいのである。粘着テープを切るカッタがギザギザなのは、これを利用しているのだ。
 切れ込み部分を半径の大きな円にすれば、最初の実験とあまり変わらぬ値になるであろう。

 手法はもちろんであるが、製作記事にはこのような解説があることが望ましい。軸箱守も爪状になって強度部材として存在していることも触れるべきであろう。
 
 単発記事ではなく連載で書く人は、それなりに勉強した人であってほしい。そうでないとこの趣味の世界をリードすることにはならない。今の連載では、中学生が外見だけ見て模型を作っているのと、さほど変わりが無いのである。タイトルは模鐡技師になっているが、技師とはとても思えない。

 その点では、昔伊藤剛氏が書かれていた記事には今でも感服することが多い。専門家が分かり易く説く姿勢というのが、この趣味の世界には最もふさわしい。素人の勘違い記事は初学者にとって迷惑そのものである。

 機械で工作する手法が書きたいなら、少し謙虚になって近くの町工場で見学してくるべきだ。素人の思い付きではだめなのである。
 鹿ケ谷氏の御指摘にもあったように、ワーキング・パス(working path)が長くなると必ず失敗する。刃物が飛び出している量を少なくすることが最も大切なことである。
 機械全体の中でどの部分の剛性が最も小さいかを考えれば、自ずと手法は決まるのだ。

 しばらく前にこの雑誌中、どなたかの記事で模型連結器の話が展開されていたようだが、それにMonarchの話が出て来なかった。連結器の歴史上、最も信頼性ある連結器として名を轟かしたのだが、それをご存知ないようだ。編集部ももう少し知識のある人を揃えないといけないし、前にも書いたように査読者に見てもらうべきなのである。

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by K.Tsuchihashi   2012年02月25日 22:47
リン青銅の板バネについてですが下ばねも機能しなければなりません。(記事では上二枚だけ機能させてあとは飾り)
板バネは各板間の摩擦でダンピング作用がでるので、それを作用させないと意味がないと思います。
実物のモデルとして作るのなら端面は直角切り落としでなくて45度にカットするのが理にかなうのですが、お構いなしに直角カットです。古いカツミの板バネさえも45度にカットされていました。
EEの電機はそのような板バネでしたが、WH機である当機は45度にカットしてあったのです。
日本型では担いばねが折損するので両端を45度にカットしました。ですからED19はカットすべきです。
また、なぜ3.1mmで切り出してわざわざ3.0mmにやするのでしょうね。切断機を使えばよいことです。

この記事を見て思うのは、手間を掛けるばかりで一向に完成しそうにはないみたいですね。手間をかけずに早く確実に完成するような工法を書くべきと思います。
機械加工の理論も教えてほしいものですね。何も書かれていませんが。

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ