2012年02月23日

不思議な工作記事

 かねてより疑問を感じている連載記事がある。とれいん誌のED19を作ると言う記事だ。 文調は、「素人に金属加工を教えてやる」という感じである。内容はかなり怪しいと思っていた矢先に、親しい模型工作の大家から、相談があった。

「Φ1.2のネジを切る時に、バイスにワークを銜えて、ダイスを手持ちで回すという行があり、とても違和感を感じました。小さな径のネジを切るのであれば、ワークをピンバイスに銜えて、手回しで(手に持った)ダイスにねじ込めば済む問題ですよね。ダイスを手で持って回すなんて、あまり一般的ではないような気がします。」
 
ガラ 確かにやり方は色々ある。早くて楽なのは、このご指摘の方法だ。直角を出そうと思うと、もう一工夫必要だ。プロはダイスを付けた板に、通称「ガラ」という手廻しの増速装置(クランク軸には大径の内歯歯車があり、小ピニオンに付けたチャックが4倍くらい早く回転する)で棒材をねじ込む。この工具はクランクの回転方向と刃物、ワーク等の回転方向が同じであるところが優れている。
 ダイスを大き目の板に付けるところがミソで、こうすると目で見て直角が出やすい。タップとは違うので自然に直角に入るが、こうすれば最初からすんなりと入る。
 筆者は速度は必要ないので、ボール盤の直角を利用して手回しでねじ込む。もちろん大きなものは旋盤を使う。

 いくつかある工作法を唯一であるかのように書くのは、視野が狭いということである。要するに経験が少ない。この種の記事を書く人は、十分な経験を積んだ大人であるべきだ。
 しばらく前の記事ではフライス盤の話があったが、ほとんど怪しげな工作法の紹介に終始していた。
 編集部は、この種の記事を書ける人かどうかが分からないということだ。プロを装った素人では、周りが迷惑する。雑誌の評価も下がるだろう。

 万力の底板部分にワークを載せて締めている。これではだめだ。必ず敷板(正直板)を立てて万力の顎の先で銜えるようにせねばならない。その万力も、できれば締めた時、顎の上部が開かない構造の物が良い。

 スコヤの話もあったが、あのタイプのスコヤの信頼性はほとんどない。組み立て式のスコヤなど、工場ではまず見たことが無い。必ず削り出しの焼きの入った物を使うべきである。それほど高いものではない。
 組み立て式のスコヤをお持ちの方は、一度直角を調べてみるべきだ。愕然とする方が多いと思う。

コメント一覧

1. Posted by 鹿ヶ谷   2012年02月23日 07:28
Parallelのことは日本語で正直板って言うんですか。知りませんでした。このたぐいの用語は辞書にも載ってないし、調べるのが大変です。
バイスの底にワークを固定するってのは想像することもできませんでした。面白いですね。ワークパスが長くなりろくなことがないでしょう。

いまマウント・アイザへの乗り継ぎ待ちでブリスベーンの空港で書いています。
2. Posted by dda40x   2012年02月23日 07:36
鹿ケ谷様 お疲れ様です。
 鉱山の様子を興味深く拝見しています。私は地面の中から出て来る物には異常に興味があるタイプの人間です。

 敷板と言ってみたり、ヨーカンであったり、正直板(正直台)であったりします。職人の言葉ですから一定しません。
個人的にはこの正直板(しょうじきいた)という言葉の響きが好きです。
名古屋近辺ではほぼ100%こう言います。東京大阪近辺では敷板というのが大半です。
そのほかの地域ではどうでしょう。

 万力の底では刃の長さが大きくなって失敗するでしょう。そういう経験が無いのですね。
3. Posted by ゆうえん・こうじ   2012年02月23日 10:47
日本だと、模型の工作でも、料理のレシピでも、果ては学会発表でも、これが唯一の方法!、唯一の真理!といったノリで発表されることが多いと思います。
模型クリニックのコンベンションや学会発表でも、欧米だと会場で何人も手が挙がって自分はこうしているというコメントがついて話が拡がることは多いと思います。
日本では発表内容に対する疑問や批判はコメントで出ても、自分はこうしているというコメントをつけるひとは少ないし、それをやると学会だと円滑な進行を妨げる変な奴ぐらいにしか思われないようですね。
まあ、あまり裏付けをとらず変な権威づけをしたがるのは模型雑誌にかぎらず、日本のマスコミの伝統なのでしょうか?
4. Posted by コン   2012年02月23日 21:03
 実はあの記事、概ね参考にはなるのですが、時々??というところがあり、今回のダイスの問題はちょっと…ということで私信でお話しました。
 それと、板バネの形状です。一番上はフラットバーですが、その下から両端は欠き取りがある筈だし、中央には横ずれ防止の溝がある筈です。本当はそうなのだけれど、模型だから簡略化すると記載があれば良いのですが、あの板バネがの形が当り前と言われると疑問が残ります。
 一応長く模型はやっていますが、自分はこういう方法ですのでご参考になさってくださいというスタンスは守りたいと思います。
5. Posted by コン   2012年02月24日 15:51
訂正です。自分は担いバネ等を作る時に、バネ材の両角を三角に削っていましたが、旧型電機では、三角に削らず平板のままで、ずれ防止の溝も無い単純な形態もあったそうです。ED19がそれに該当するか確認出来ませんので、バネ材の形状に関する疑義は取り下げとさせていただきます。誤解を招いた点、お詫び致します。
6. Posted by YUUNO   2012年02月27日 02:17
4倍速の増速機なら通販で買えますよ。
ちょっと値段が高いですが、探す時間の損失を考えれば買ってしまった方が早そうです。
あとは性能や精度に満足できるかどうかですね。
http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/tool-net.jp/g/645303/index.shtml
7. Posted by dda40x   2012年02月27日 07:41
おお、これはまさしくガラです。ありがとうございます。
まさか、いまだに新品を売っているとは思いもよりませんでした。

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