2012年02月07日

続 UP F9A

 スノウ・プラウの丸みを付けるにはこの方法が最も適するが、加工硬化するので一発で仕留める必要がある。

 位置関係を十分に確認して、テープで仮留めする。ゴムハンマで満身の力を込めて一発で変形させる。とても硬くなり、二度と変形しそうもない。もちろん、リン青銅板の「目」を確認して曲がり易い方向を探すことも大切である。
 左右二つの曲げを完了してから、折り目を付ける。この時は、裏に軽く筋掘りして応力を集中させる工夫をする。

 万力に挟んで、押し板で一気に曲げる。これも繰り返すと硬くなるので、戻るのを見越して曲げ、戻った瞬間に所定の角度になっていることを確認する。

GOW_3391GOW_3393 下回りのフレイムは 1 mm厚のアングルを用いて作ってある。その前端にスノウプラウのベースが密着するようにした。これはいわゆるメタルタッチで、衝突時に力が直接フレイムに伝達されるようにした。機関車と正面衝突するとどうなるかは分からないが、貨車、客車なら余裕を持って耐えられるはずである。

 駆動装置は3条ウォームギヤをロストワックス製のギヤボックスに収めたものである。これは25年ほど前に祖父江氏と共同製作したもので、鋳物は韓国に発注し歯車は日本製である。このギヤボックスはアメリカにもかなり売れ、シカゴの科学工業博物館のレイアウトでも使用されていたらしい。素晴らしい転がりと耐久性がある。
 ユニヴァーサル・ジョイントは韓国製のものにアメリカ製の金属製スパイダを入れている。当時、AJINの社長はこのギヤの性能に惚れ込み、アメリカに輸出する製品に付けたいと思ったらしいが、インポータの無能によってそれは評価されなかった。筆者はアイデアを無償提供すると言ったのであるが。結局、競合する他社によって、"coasting gear" などという勝手な名前を付けて売り出された。開発者である筆者は、"free rolling drive" と名付けているのも関わらず。
 この"coasting"という語感にはあまり良い印象が無い。財産があり経済的に余裕のある人の退職後などの生活をこの言葉を用いて表す。遊んでいるということを強調しているように感じるのだ。
 列車がその質量により惰行するのは、物理の法則により当然のことであり、「金持ちが遊んで暮らす」というのとは少々違うし、この方法は他の歯車を用いる方法より経済的であるという点が、大きなセールスポイントだったのだから。

 チェイン・ドライヴは、そこそこに効率がよく、また手軽である。しかも安い。最近はMicro-Markでも売っている
 当時はこの会社を探し出して手紙を書き、小切手を送って購入した。祖父江氏は、「これは使えるよ。面倒なギヤボックスなしで済むんだったら、こんな簡単なものはない。」と気に入り、ずいぶんたくさん買った。
 軸はインチサイズであったので、ミリサイズのスリーブを入れた。

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コメント一覧

1. Posted by 01175   2012年02月07日 20:48
coasting gearというのは1978年頃に天賞堂や中村精密のHO製品の一部に採用されていたギアヘッドで減速しヘリカルで駆動するシステムに使用された呼称だったようです。

手元に1978年の銘鈑が付いたGNのS-1があります。押すと動輪は回りますが、三弘社製品などにみられる御創案のものに比べるとかなり固い感じです。

2. Posted by harashima   2012年02月07日 21:50
チェイン・ドライヴの潤滑油はどうするのでしょう、と思ったらself-lubricatingと書いてありますね。
油が下に落ちたりはしないのですね。
3. Posted by dda40x   2012年02月21日 18:01
Coasting Gearという名がその時代から始まっていたというのは興味深い事実ですね。
お教え戴いてありがとうございます。

4. Posted by dda40x   2012年02月21日 18:04
一応自己潤滑ということになっていますが、リールに巻いてあるチェインは多少油を含んでいます。滴るほどではありませんが、薄い紙を巻いておくと油が多少移るように感じます。

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