2011年12月31日

続々 エッチング

 裏表にレジストを付けることができれば、両面エッチングができる。エッチングをするには塩化鉄(III)の液を使う。これは溶かしたものを電気部品屋で売っているが、やや高価であるし、速度が遅い。

 電子部品用の基板に貼りつけられた銅箔の厚さはおおむね 0.05 mm 以下であって、その程度のものを溶かすには塩化鉄(III)で十分である。しかし厚いものを両面から腐食するときは、腐食速度が大きくないと、レジストがだんだんはがれてきて、最終的には失敗する。短時間に溶かしたい。

 一番速いのは硝酸である。但し有毒な二酸化窒素が大量に出るので、室内ではできない。風の強い雨の日を狙って屋外で行う。台風がやってくると、エッチングができて嬉しいという困った人もいるのだ。このガスは水に溶けやすいからだ。
 3分程度で 0.3 mm 厚でも貫通する。硝酸が指に付くと黄色くなり、始末に困る。ゴム手袋をはめて行わねばならないし、環境保護の観点からも、あまり感心しない。

 アメリカでは過硫酸アンモニウムなどを使う。過酸化物なので酸化力が大きいが、これは日本では手に入れにくい。アメリカで買って日本に持ち込むのも難しい。

 その代わりに過酸化水素を使う方法は手軽でよい。そこそこに速いエッチング能力がある。
 塩酸、硫酸、酢酸何でも良いから酸と混ぜて使う。酸は銅を溶かした後、水溶液になっていて欲しいので加えているだけである。ここでの酸化剤は過酸化水素である。3%水溶液はオキシドールとして売っているのでそれで十分だ。ただし、塩化鉄(III)と混ぜてはならない。激しい反応が起こって、容器から噴出し、取り返しのつかない結果をもたらす。
 酸と混ぜる過酸化水素の濃度が高いと速度が大きいが、危険である。素人は3%以外使ってはならない。濃いものは一般人が買えないようになっているはずだ。高濃度のものは何かの間違いで突然爆発する可能性があるので、使うべきではない。この種の事故は意外と多い。 

エッチングのメカニズム 塩化鉄はポリ袋中など、密閉された条件で使う例が示される場合が多いが、それは良い方法ではない。鉄(III)イオンは銅を溶かして還元されてしまい、そのまま役に立たない状態で存在している。これはもったいない。
 しかし、空気に触れさせると、エッチング速度が増すのだ。空気に触れれば再度酸化されて元の鉄(III)イオンに戻り、銅の溶解に参加するからだ。
 工業用のエッチング装置はこの仕組みを最大限活用している。ポンプで空気を細かい泡にして下から送りこんだり、エッチング液を霧状にして空気で吹き付けることを行う。また、反応速度は温度が高いほど大きいので、ヒータで加熱する装置もある。

コメント一覧

1. Posted by 鹿ヶ谷   2012年01月01日 12:03
過酸化水素でできるとは知りませんでした。こちらでは6%の過酸化水素も入手可能です。6%でも大丈夫でしょうか?
今度エッチングをする時に試してみようと思います。酸は銀ロウ付け後の酸洗に使用しているクエン酸を使いたいと思います。

塩化第二鉄のエッチングはジップ袋の密閉でやってましたが間違ってたようですね。
2. Posted by 初瀬春日   2012年01月02日 00:00
1970年代のTMSで、塩化鉄液をパドル状の羽根で跳ね上げた滴を振りかける、という方法が紹介されていました。
これは常に液を空気に触れさせるという点で理にかなっているわけですね。
液で溶けないようプラで装置を作るような例が示されていました。
3. Posted by dda40x   2012年01月02日 17:33
オーストラリアでは6%ですか。すごいですね。何かの間違いがあるとまずい濃度です。
お申し越しのエッチングの酸をクエン酸にするというのは全く問題ありません。
銅が溶け込んだ色がやや濃くなるだけです。分子構造的には有利な点があります。

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