2011年10月22日

続々々々 Golden Gate Depot の客車

2738 ところで、このガラスを通しての見え方について、皆さんはどのように感じられるだろうか。
 ガラス表面が平面でない。ただし、拡大しすぎて細かいキズが見えるところはご容赦願いたい。 これを見て「型の精度が良くないからだ。」と言った人が多い。その正誤は別として、このデロデロした感じが素晴らしいと感じる人は筆者以外には少なかった。しかし、 TransPacific Railroad の栗生弘太郎氏はさすがに良くご存知であった。

 大面積の平滑な板硝子が大量生産できるようになったのは1950年代後半である。それまでのガラスは平面度が低い。このプルマンの時代のガラスは、大きなガラス製チューブを吹いて作り、それを軟らかいうちにハサミで切り開いて、グラファイト(炭素)の平盤上でアイロンがけをして延ばしていた。すなわち、平面度はその平盤と職人のアイロンの手さばきで決まる。当時の車輌の内部に入ると、外の景色は微妙にボケて見える。平面ガラスしか見たことがない現代人には奇妙な景色である。のちに引き上げ法が開発されたが、素晴らしい出来ではなかった。
 もちろん、戦前でも戦闘機などの風防ガラスは、「磨きガラス」を使用していたので平面性は確保されていた。これは機械で磨って作られ、大変な手間を掛けていた。筆者の子供のころまでは「磨きガラス」という言葉はよく耳にしたが、最近は全く聞かなくなった。平面ガラスが当然になったからだ。

 古典機は筆者の守備範囲外であるが、古典車輌を作られる方は、このことにも留意されるべきであると思う。「窓ガラスは顕微鏡のカヴァ・グラスを使いました。」とおっしゃる方は多いが、その時代にはそれほどの平面度はなかったのである。カヴァ・グラスの件はTMSにかなり昔から紹介されている。初出はいつなのかは知らないが、不思議なのはそれが紹介された頃の日本は、まだ平面度の低い窓ガラスを付けた車輌が大量に残っていた時代なのである。編集者は何も感じなかったのであろうか。
 さりとて、そのデロデロ感を模型でどのように再現するかというのは難しい話だ。

 筆者のGDDの車輌には乗客が乗せてある。Pullman は一等寝台車であるが、どういうわけか黒人の乗客が各車輌2人ほど乗っているのだ。これは良いとは言えない。当時は人種差別が厳しく、黒人は特急には乗せてもらえなかったようだし、ましてやPullmanには決して乗れなかったはずだ。
 黒人客は全て外して、Coachの方に移ってもらった。コーチ(三等車)にはお客さんをたくさん乗せた。Pullmanより乗客が少ないのもおかしなものだからだ。人形は全てe-bay で競り落としたものである。人件費がこんなにかさむとは思わなかった。

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コメント一覧

1. Posted by 初瀬春日   2011年10月22日 11:46
そういえば、古い老舗の料理店に行ったときに昔のままのガラス窓がそのまま使われていて、庭の景色が微妙にゆがんで見えていました。
妙に懐かしい感じがしたのは、自分の幼少の頃に見ていたのかも知れません。

ところで、これを模型に採用した場合、それを実感的ととらえるか、ゆがみととらえるかは個人の感性によって異なるのではないでしょうか。

蒸機のパイピングでも実機のゆがみを再現すると失敗作と見られる恐れもあります。
模型は直線・平面が出ているべきだという先入観が邪魔するのかも知れません。
スケールが小さくなるほど、ゆがみと感じる印象は強くなります。

模型としてのまとまりをとるか、実感をとるかという選択になるのではないかと思います。
もちろん、しっかりと理解して、あえて平面にするのと実車を知らずに作ってしまうこととでは全く意味がちがうとは思いますが。
2. Posted by ゆうえん・こうじ   2011年10月22日 14:10
確かに約30年前JALCOの皆さんが古典機を盛んに発表されていたころ蒸機の窓ガラスにカバーグラス貼るが流行っていましたね。私も2800のキャブ窓にカバーグラス貼りました。ただあれは平面性がよいのでカバーグラス貼ったわけではなく、窓セルが傷が付きやすいのでカバーグラス貼ったというのが理由だったと思います。当時コンさんも大学の研究室におられて、カバーグラスが手近にあったので模型屋に窓セル買いにいくよりは手っ取り早かったのではないでしょうか?ガラスの平面性とか深い意味はなかったと思います。
また昔は大きな板ガラスは高価だったので、輸入当初はキャブ窓でも一枚ガラスだったのに、窓桟を入れて4枚ガラスにした機関車も多いですが、私は形態的には嫌いです。
ところでキャスティングならともかく、普通の透明の樹脂板で平面性の悪い窓ガラスを作るのは困難なような気がします。何か作り方があるのでしょうか?
3. Posted by ワークスK   2011年10月23日 01:42
板ガラスの製造方法については、次のサイトで詳しく解説されていますので、ご参考まで。ポイントは「歪みのない透視性」という点です。
http://www.agc.com/kingdom/manu_process/

ガラスは鉄道車両と切っても切れない面があり、旭硝子の尼崎工場にはお世話になりました。

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