2011年08月16日

続々々 伊藤英男氏の蒸気機関車

 35mmゲージというのはすでに過去のゲージであるが、戦後になってからも、ある程度の秀作は発表されている。しかし、その後全く発表されていなかった。
 筆者は20年ほど前、吉岡精一氏に伊藤氏のお宅に連れて行って戴いた。その時の衝撃は忘れられない。全てを手作業でここまでのものを作れる人は、まれである。祖父江欣平氏、内野日出男の両氏も凄いが、彼らとは異なる次元の製作者であり、一品物をこの速度で着実に作られるというのは、まさに研ぎ澄まされたプロの世界であった。

 平岡氏のTMS記事まで、一般の方には伊藤英男氏の名前すら知られていなかった。どうしてこの国の模型雑誌社は、製作者の取材をしないのだろう。伊藤氏のお宅に何回も伺って密着取材をすれば、いくらでも素晴らしい記事が書けるだろうし、作品集だけでも大冊ができる。国鉄型をここまで細かく、精密に、大量に作られた方はいないはずだし、この作品を見て参考になる点は多い。

4 2 祖父江氏の時もそうだった。雑誌が全く取材に行かない。来たのは朝日新聞とアエラだけで、模型誌には顔写真の一つも載らなかった。この国の模型文化の根元を作られた方なのに、亡くなっても知らぬふりである。(写真はアエラ2004年10月4日号)
 ある雑誌社の編集部が極めて浅い記事を書く気配があったので、あわてて文章をまとめたのが載り、ほっと一息というところであった。
 編集部の書く記事など読みたくないと思うのは筆者だけだろうか。投稿者があれば、それを元に取材に出るというのが筋である。
 新聞その他のメディアの「記者クラブ」制度が批判の対象になっていることを御存じの方も多いだろう。役所から渡される原稿を載せるだけで仕事をしたことになるわけで、現在の模型雑誌にも似たところがあると筆者は見ている。

 伊藤英男氏は、長年、特定の顧客を相手に仕事をされてきたので、一般には全く知られていない。また、インターネットをされていないので発表する機会がなかった。今回の訪問時に「発表させてほしい。」と申し出たところ、快諾を得た。秘密にしていた「ハシ」の工夫などを全てオープンにして下さった。
 ロクロはほとんどだれも知らないことで、それだけでも今回のシリーズには存在価値があったと思う。 

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コメント一覧

1. Posted by 鹿ヶ谷   2011年08月17日 12:44
うーん、伊藤氏、すごいとしかいえないですね。
技術もさることながら、よく気力が続くものだと感心します。飽きっぽい私には想像することもできません。
模型雑誌の将来ってどうなんでしょうね?私は雑誌はほとんど買いません。クラブの人がいい記事が載ってるとか連絡してきたときに買うくらいかな。雑誌としては鉄道模型よりModel Engineeringのほうが参考になります。それに技術的に知りたいことはネット検索と、Interest GroupのBBSでほとんどすんでしまうんですよね。

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